【完結】 悪女は今日もパンを焼く 【R18】

３

１０月の連休、日曜日にグローバル製菓学校の製パン科保護者会が開かれた。

母親が手続きをして、梅本舞子の名札をつけている。
最初に開会の挨拶があって、今日のメニューが公表された。
オープンサンドとアンパンだ。
食パンから作るので、作業量は多い。
お土産にも食パンを出すので、手際よく進める必要がある。

親が見に来ているので緊張感の中、実習が始まった。
同じ作業台のメンバーは、柳田亜紀、立花妃奈それに松田大地だから安心感はある。

パン生地を発酵させている時間に、小豆餡とオープンサンドの具材を用意する。
具材は４人で話し合って、蒸し鶏とクレソン、鮭マヨネーズとレモンにした。
今週の自習で一回リハーサルをしていたので、スムーズに進んでいく。
参観の親が交代で、見ていた。

「手つきが、いいわ。本気でやってるのね」
母が当たり前のことを口にしている。

立花妃奈の父親が、スマホで動画を撮っている。
娘が可愛いんだろう、母親もウルウルしていた。
廻りを見渡すと、父親の参加者が多い。
女の子が多いためだろう、うちの父親も誘えば喜んだのかな？

パンが焼きあがる。
参観の親から歓声が上がった。
実習室に、こんがりと焼けたパンの匂いが充満した。

全ての作業が終わり、飾り付けられた会議室に料理を運ぶ。
カフェ専科を選択している学生で、コーヒーを煎れる。
ブラック、生クリーム入り、カフェオレ、希望に合わせて仕上げていった。

校長の一言だけの挨拶があり、試食会が開催された。
学生も両親と一緒に、試食する。

「美味しい、クレソンがいいアクセントになってる」
母はオープンサンドを平らげ、アンパンも食べた。

「美味しい、お父さんに食べさせたい」

「後であげるよ、持って帰って」私が答えた。