【完結】 悪女は今日もパンを焼く 【R18】

３

５月３日。起きて朝食を食べたら、パン作りを開始した。
発酵時間を入れて、４時間で完成。
箱に入れて、リボンをかけた。
念入りにメイクをして、ワンピースに着替える。

品川駅で柚木、伊桜君と待ち合わせた。

「姉さん、今日はまた一段とお綺麗ですね」
ホント、伊桜稜也は調子いい。
二人共、シャツを着て、小綺麗にしていた。

「二人共、爽やかでいいと思う」

「柊木の家って、自由が丘だぜ。
お金持ちに決ってる。
普段着じゃ、まずいだろ」
柚木武尊でも、自由が丘がお金持ちの街だって知っていた。

電車の時間を連絡していたので、柊木麻未が駅に迎えに来ていた。
母親が運転する車は、ドイツの高級車だ。
ものの５分で到着した。

家の中に案内される。
２階がダイニングとリビングで、奥にキッチンが見えた。
リビングに案内されて、麻未のご両親に挨拶をする。

「八神紗栄子です。
今日はお招き頂き、ありがとうございます。
これは私が焼いたパンです。
よかったら、召し上がってください」

持ってきたパンを、渡す。

「伊桜稜也です」

「柚木武尊です」
私に続いて、二人も名乗った。
ソファに掛けるように促されて、座った。

「柊木純一です。こちらは妻の亜佐子です。
皆さんには娘の麻未が大変お世話になってるようで、お礼がしたくてお招きしました。
お食事を用意しています。楽しんでいってください」

「八神さん、開けていいですか？」
麻未が尋ねた。

「どうぞ、差し上げた物ですから」

開けると、丸いフランスパンが出てきた。

「くるみのカンパーニュです」

「素敵。みんなで味見したいから、お食事の時に出しますね」