女難の男、アメリカを行く

第３章 Sophomore

１９

「Cynthia、どうしても俺とsexしたかった訳を聞こうか？」

裸で二人、ベッドで横になって俺は話を切り出す。
仰向けの俺に抱きつくように、彼女が上に乗って顔を近づけた。

「私、高校時代に３年間憧れていた先輩がいたの。
でも、当時は付き合うことは出来なかった。
それが今年の夏休みに北京に遊びに行った時、高校の同級生の仲介で再会出来たの。
デートに誘われた時は嬉しかったわ。
私が泊まっていたホテルまで彼が送ってくれて、勇気を出して部屋へ誘った。
でも、全然楽しくなかったの。
５年間も想ってたのにガッカリしたし、自分が感じない女なのかと不安になった。
だから、Amatoとsexして試したかったの」

「Cynthiaが言ってる状況だったら、俺でも楽しいsexは難しいと思うよ」

「そうなの？」

「君は彼に憧れていたけど、彼は君に想いはそれほど無かったんだろ。
sexを誘われたら、大体の男は断らない。
だから男は自分の快楽だけを考えて、君の快感は後廻しになる」

「じゃあ今日、私が気持ちが良かったのは？」

「俺たちがずっと友達で、お互いを思いやることが出来たからだ。
Cynthiaは、俺を信じて身を任せてくれた。
俺はsexする以上、君を観察しながら丁寧に取り扱った。
お互いが楽しくなるように行動したから、君は初めての体験が出来たんだろう」

「じゃあ、もっとしよ。まだまだ夜は長いわ」
結局、この夜は彼女が騎乗位になったり、後背位を試したりして深夜まで続いた。

「明日から俺たちは友達に戻るんだ」

「判ったわ、Amatoの言う通りにする」
何か吹っ切れた顔で、Cynthiaは返事をした。

＊＊＊＊

翌日は疲れていたが、何とか週末までは頑張った。
土曜日にArtGangのスタジオに入ると、みんながChristmas展覧会の作品を描いている。
Chloéクロエがいたので、作品の候補を相談した。

「私はこれがいいと思う。大学生に向けて、最高のエールになると思う」
彼女が選んだのは、米国の政治家 Benjamin Franklin（ベンジャミン・フランクリン）の名言だった。

【An investment in knowledge always pays the best interest.】
（知識に投資することは、常に最大の利益をもたらす）

半切りサイズ（３５×１３６cm）に、書いていく。
最近は、細筆で柔らかく書く練習をしていた。
字数が多くなるので、特に美しく仕上がるだろう。

「Halloween、何処に行ってたの？」
Chloéの笑顔が怖い。

「友達の女の子と過ごしたよ」

「私は、まったくお誘いが無いんだよね」

「今日、夕食でもどう？」
ここまで言われたら、誘うしかなかった。