158 / 169
第3章 Sophomore
7
しおりを挟む
日本に帰って来て、俺も舞美も両親に振り回されて忙しい。
やっと二人だけで逢えたのは、大晦日になっていた。
贔屓の蕎麦屋で年越しそばを食べる為に並ぶ、彼女と一緒なら全然苦にならない。
「海人は、アメリカで蕎麦を食べて無いの?」
「余計に日本の蕎麦が恋しくなるから、うどんしか持って行かなかった」
二人で話していると、やっと店内に案内される。
さすがに年末の稼ぎ時、てんぷらそばか、もりそばの2点しか選らべない。
俺は両方、舞美は天ぷらそばを注文した。
「海人が美味しそうに食べているのが素敵」
「飯食ってるのに素敵も何もないだろ」
「海人の嬉しそうな顔が好きなの」
「勝手にしろ」
あっという間にてんぷらそばともりそばを食べ切る、やっぱりここの蕎麦は美味い。
舞美が食べ終わると、さっさと店を出る。
表参道のイルミネーションを楽しんでから、彼女を家まで送って行った。
カウントダウンPartyのイベントは深夜になる為に、舞美の両親が心配している。
彼女は留学で4カ月も家を空けていたので、無理はしなかった。
「お正月は家族で箱根の温泉に行くから、帰って来たら初詣に行こうね」
「舞美が帰ってきたら、他の予定をすっ飛ばしてでも逢いに来るよ」
「大げさね。海人、良いお年を」
「舞美も良いお年を。じゃあな」
お互いに手を広げて、ハグをしてから別れた。
多分、この時だったんだろう。俺の中で何かが弾けたのは。
****
俺は元旦を家族と過ごして、午後は祖父の家に挨拶に向かう。
80歳を過ぎても、祖父、祖母共に健康で元気だ。
お土産に買ってきたDuluth Packのショルダーバッグとトートバッグを渡すと、二人は大喜びしてくれる。
その後は茹でたカニがいっぱい出てきて、ビールを飲みながら大学の話を色々と聞かれた。
JUWで起きたことを色々と披露する。
「海人、アメリカに留学して良かっただろう?」
「子供頃から爺ちゃんに、アメリカは最高だと洗脳されていたからな。
今が最高に楽しいよ」
「洗脳はひどいな、せめて教育的指導と言ってくれ」
「そのおかげで、俺は世界の広さを感じてる。爺ちゃんには感謝しかない」
「今を精一杯楽しめ。後から考えれば一瞬の出来事だ」
「ありがとう、心に刻んでおくね」
アメリカから帰国するたびに、祖父、祖母に挨拶に来て話をする。
その都度、自分を見直すことが出来るのは幸せな事だ。
新しい思考で、またアメリカに挑戦出来る。
俺と祖父の会話を、母親の華が穏やかな顔で見ていた。
やっと二人だけで逢えたのは、大晦日になっていた。
贔屓の蕎麦屋で年越しそばを食べる為に並ぶ、彼女と一緒なら全然苦にならない。
「海人は、アメリカで蕎麦を食べて無いの?」
「余計に日本の蕎麦が恋しくなるから、うどんしか持って行かなかった」
二人で話していると、やっと店内に案内される。
さすがに年末の稼ぎ時、てんぷらそばか、もりそばの2点しか選らべない。
俺は両方、舞美は天ぷらそばを注文した。
「海人が美味しそうに食べているのが素敵」
「飯食ってるのに素敵も何もないだろ」
「海人の嬉しそうな顔が好きなの」
「勝手にしろ」
あっという間にてんぷらそばともりそばを食べ切る、やっぱりここの蕎麦は美味い。
舞美が食べ終わると、さっさと店を出る。
表参道のイルミネーションを楽しんでから、彼女を家まで送って行った。
カウントダウンPartyのイベントは深夜になる為に、舞美の両親が心配している。
彼女は留学で4カ月も家を空けていたので、無理はしなかった。
「お正月は家族で箱根の温泉に行くから、帰って来たら初詣に行こうね」
「舞美が帰ってきたら、他の予定をすっ飛ばしてでも逢いに来るよ」
「大げさね。海人、良いお年を」
「舞美も良いお年を。じゃあな」
お互いに手を広げて、ハグをしてから別れた。
多分、この時だったんだろう。俺の中で何かが弾けたのは。
****
俺は元旦を家族と過ごして、午後は祖父の家に挨拶に向かう。
80歳を過ぎても、祖父、祖母共に健康で元気だ。
お土産に買ってきたDuluth Packのショルダーバッグとトートバッグを渡すと、二人は大喜びしてくれる。
その後は茹でたカニがいっぱい出てきて、ビールを飲みながら大学の話を色々と聞かれた。
JUWで起きたことを色々と披露する。
「海人、アメリカに留学して良かっただろう?」
「子供頃から爺ちゃんに、アメリカは最高だと洗脳されていたからな。
今が最高に楽しいよ」
「洗脳はひどいな、せめて教育的指導と言ってくれ」
「そのおかげで、俺は世界の広さを感じてる。爺ちゃんには感謝しかない」
「今を精一杯楽しめ。後から考えれば一瞬の出来事だ」
「ありがとう、心に刻んでおくね」
アメリカから帰国するたびに、祖父、祖母に挨拶に来て話をする。
その都度、自分を見直すことが出来るのは幸せな事だ。
新しい思考で、またアメリカに挑戦出来る。
俺と祖父の会話を、母親の華が穏やかな顔で見ていた。
2
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる