女難の男、アメリカを行く

第３章 Sophomore

１０

『夕食、もう食べた？』

Chloéからのメッセージは、シンプルなものだった。
返事に困る、明らかに誘っているとしか思えない。
迷って、予定通りの答えにした。

『日本から持って来たNoodleうどんを食べる予定です』
メッセージを送ったら、直ぐに電話が着た。

「Amato、私も食べたい。家に来てよ」
どう言っても誘ってくるんだ、前回断ったから行くしかない。

「じゃあ、１０分で行くよ」
開き直って、向かうことにした。

Chloéの住むシェアハウスに着くと、彼女以外に誰もいなかった。
どうやら、みんなはパーティーに出かけている。
二人きりだということは考えないようにして、まずはキッチンで鍋に湯を沸かす。
甘く煮込んだ牛肉と、刻みネギは持参していた。
日本から持参した乾麺のうどんを茹でる。
鰹だしの素で出し汁を作って、持ち込んだ牛肉を一緒に温める。
茹で上がったうどんをPyrex耐熱容器のサラダボウルに入れて、出汁と牛肉を注ぐ。
上から刻みネギをかけたら出来上がりだ。

「どうぞ、召し上がれ。日本の肉うどんです」

「甘い香りがする」

「牛肉を生姜と砂糖、醤油、酒で煮込んである。うどんは、日本のNoodleだ」
熱いうちに食べるように勧めた。

「お肉が美味しい。でも、とっても熱いんだね」
アメリカでは、ここまで熱い料理は少ない。

「熱さには気をつけて。俺は慣れてるから平気だけど」
アメリカではマナー違反だが、Chloéに断ってからうどんを啜すする。
俺は食べ終わって彼女が終わるのを待つ。

「Amatoに見られてると、食べにくいわ」

「上手に箸を使うから驚きました」

「中華料理をよく食べるから上手くなったんだ」

彼女が食べ終わると、鍋や食器を洗う。
シンクに突っ込まれていた、コップや皿も全部洗っていた。

「全部、洗ってくれるの？」

「キッチンが散らかってるのが、許せない性分なんだ」

「神経質なのね」

「他の奴らが大雑把過ぎるだけだ」

俺が全部洗い終わって片付けていると、Chloéに後ろから抱きつかれた。
彼女の胸が背中に当たって、温もりが伝わってくる。
振り返って彼女と向き合い、俺から抱きしめた。
ちょっと上向き加減の顔に覆い被さるようにkissをすると、彼女から積極的に舌を絡めてくる。

「うふ、Amatoのkissって優しいのね。sexしてみたい」

「本気になりますよ」

「Amatoの本気が見てみたい」

もう引き返せない、彼女に誘われるまま部屋のドアを開けた。