女難の男、アメリカを行く

第３章 Sophomore

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「ランチは、大学のカフェテリアで食べましょう。
舞美さんが大学生活でどんな食事をするか、ご両親も知りたいでしょう？」

４人でカフェテリアに向かう、入り口はMove in dayの為に特別料金で開放されていた。
母親が全員分を支払って、中に入る。
舞美が両親に説明しながら、料理を皿に盛り付けていく。
俺は、サラダに鶏胸肉のロースト、パスタを少し盛り付けた。

「督木君、ヘルシーなメニューを選ぶんだな」
舞美の父親が俺の皿を見て、興味深そうだ。

「アメリカではfreshman fifteenという言葉が有るんです。
新入生は７キロ太るって意味で、ここで毎食取るならカロリー制限をしなければいけません」

「確かに、これが毎日じゃ飽きるね」

「週末に、俺がカレーや親子丼を作るのも判るだろ」

「私にも食べさせてね」

「考えておく」
俺たちの会話を両親は温く見守っていた。

食後に舞美が家電製品を買いたいと言い出したので、WalMartに行く。
ご両親はアメリカのスーパーの大きさに呆れている。
日本的に言えば、家電量販店とホームセンター、インテリア、食品スーパーが一緒になったようなものだ。
ヘアドライヤー、電気ポット、炊飯器、デスクスタンドを買って寮に戻る。
部屋に電化製品を運び込むと、ルームメイトのPatriciaは片付けが終わってインテリアの飾りつけをしていた。

「Patricia、明日からここで生活するね。今日は両親と一緒に過ごすわ」

「明日からよろしく、Mami」
舞美が声を掛けると、Patriciaも今夜は両親とホテルに泊まるようだ。

俺たちは、Minneapolisのホテルに戻った。
夕食は、舞美の両親がベトナム料理のレストランを予約してくれている。
ジャケットを着て舞美を迎えに行くと、メイクしてサマードレスに着替えていた。

「督木君、日本料理じゃなくていいのか？」

「アメリカ人向けの日本食より、ベトナム料理の方が美味しいです。
日本人の口にも合ってますよ」

レストランはアメリカナイズされた清潔な店だが、味は本格的だ。
生春巻き、空芯菜のガーリック炒めから牛肉のフォー、ベトナムチャーハンまで、満足出来る料理だった。

「アメリカでベトナム料理を食べるとは考えて無かったが、美味しいな」

「ベトナム戦争で、たくさんのベトナム人が移民になりました。
私は、アメリカで一番美味しい麺料理はフォーだと思います」

「海人は、お蕎麦も大好きだもんね」

「舞美も、インスタントラーメンがご馳走だと思う時が来るよ」

「電話するから、美味しいものを作りに来てね」

彼女はどこまでも、俺に頼るつもりのようだ。