女難の男、アメリカを行く

第３章 Sophomore

Move in Day １

「Amato、迎えに来たぜ」

アメリカの入国審査が終わり、ゲートを出るとBraydenとMarciaマーシャが待っていた。
どうやら、このままNielsenニールセン家まで連れて行かれるようだ。

「出迎え、ありがとう。Marcia、とっても可愛いよ」

「Amato、ありがとう。Mamiはいつ来るの？」
舞美が日本で選んだチェックのシャツワンピを着ている、Marciaが尋ねている。
可愛らしく着こなして、ポニーテールの髪型が似合っていた。

「彼女は１１日に訪米する。到着したら、家まで連れてくるよ」

「楽しみだわ、会ってお礼を言いたいの」

セントポール空港内を駐車場に向かって歩く。
BraydenのSUVにキャリーケースを積み込み、Nielsen牧場まで２時間半のドライブだ。
変わらないアメリカの景色を見ながら、戻って来た事を実感していた。
牧場に着くと、家の前に赤いNISSANのSUVが置いてある。

「Nielsen Trading LLCの社用車だ。Amatoが使え」
Braydenの言葉に驚いた。

「新車みたいだが、俺が使っていいのか？」

「Leoさんから頼まれた、働いた給料替わりだそうだ」
あの兄貴ならやりそうなことだ、もっと働けということか。
でも新車のSUVが俺の愛車になった、本気で嬉しい。

家の中に入ると、Nielsen家の両親が迎えてくれた。
日本、ドバイ視察の後、Braydenが家の仕事に積極的になった様子。
牧場の経営やCheeseFactoryの経営に参加して、従来のやり方に新しい意見を出していた。
俺は、両親から感謝をされた。

「Braydenは、視野が広くなった。
牧場を大きくするだけじゃなく、買い手の事を考えるようになった。
これは、海外に行った経験が生きている。
君が連れ出してくれたお陰だ」

「言い出したのは兄貴で、俺はガイドをしただけです」

「君とBraydenの出会いで、我が家は次のステップに上がろうとしている」

「俺もBusinessを学んでいます、これからもよろしくお願いします」

夕食には、Nielsen家の一族も招かれて、大宴会になった。
Wisconsinはビールの州、ジョッキを掲げて乾杯の嵐だ。
俺とBraydenが囲まれて、ドバイや東京の土産話で盛り上がる。
酔い潰れてベッドにたどり着いたのは、深夜になっていた。

翌朝、シャワーを浴びてダイニングに行くと、もうみんなは働いている。
牧場の朝は、早かった。
牛舎の掃除は午前６時から始まる、終わり次第餌やりを開始。
朝食を食べながらミーティング、搾乳は午前９時からで休む暇もない。
昨日、あれだけ飲んだのに、午前５時半起床で働くNielsen家の馬力には驚かされた。