上 下
115 / 148
第3章 Sophomore

19

しおりを挟む
Faruqの日本訪問は順調に進み、5日間のスケジュールは無事に完了した。
商談のテーブルに上がったのは、カキ、ホタテ、エビなどフライの冷凍加工品だった。
国産の高級冷凍食材は、ドバイでも人気が出るだろう。
試食で出したタルタルソースがFaruqのお気に入りで、高級テイクアウト店で取り扱いを考えているようだ。

外食では、ラムしゃぶとホットサンドが候補になるだろう。
中華系火鍋の店で羊肉が出される店はあるが、日本式のラムしゃぶは無い様子。
ホットサンドは、専門のファーストフード店を考えているようだ。
運営マニュアルから設備までブランドを含めて、提携先を兄貴が探している。

今日は、督木家の招待に対するFaruq側の返礼が行われる。
港区のハラールレストランに、俺と両親、蓮央兄貴が招待された。

「今回は、日本に招待して頂き、ありがとうございます。
我が一族の営業面に取り入れるべき事が、たくさん有りました。
今日は、アラビアで食べられているものを用意しました。
楽しんで頂けたら、嬉しいです」

Faruqの挨拶で、会食が始まった。
ひよこ豆のフムス、ナスとヨーグルトのペーストのムッタバルなど、ドバイで食べたものが出て来た。

「お母様には、本当にお世話になりました。
毎朝、ハラールに沿った朝食を用意して頂いて感謝します」
Faruqは母が作る朝食を楽しみにしていた。
特に出汁巻き卵は大好物で、食べるたびに喜んで食べていた。

「Faruq君が何でも食べてくれるので、作っていても楽しかった。
アメリカからドバイに帰る時には、是非日本に寄ってね」

「是非、寄らせてもらいます。
それもですが、ご夫婦でドバイに来てください。
私が招待しますよ」

「いつか必ず、訪問します。その時には、よろしく」
会食は和気あいあいと進み、無事に終了した。

翌日からプライベートな時間になるので、お土産を買いに銀座に出かけた。
母親の華がFaruqを、扇子扇の専門店に案内する。
彼は自分用に麒麟が描かれた扇子を、母親には猫がたくさん描かれたものを選んでいた。
その後は機能性アンダーウェアを買い漁る。
ドバイで生活するには、必要不可欠との話だった。

日本の風呂に毎日入って、すっかり入浴好きになったFaruqが温泉に入りたいと言い出した。
食事の問題が有るので、秩父にある日帰り温泉に連れて行く。
渓流沿いに建てられた屋根付きの露天風呂に入って、ゆっくりすると実に嬉しそうだ。

「こんな素晴らしいお湯が地下から湧き上がるなんて、信じられないよ」

「俺がアメリカで風呂に入りたがる訳が判っただろう」

「俺も風呂に入らないと、満足出来ないようになってる」

温泉の素晴らしさは、世界共通のようだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...