女難の男、アメリカを行く

第３章 Sophomore

１８

俺は、蓮央兄貴に日本で提供されているハラール料理について調べることを提言した。
和食、ラーメン屋、海鮮料理、洋食屋などをターゲットにする。
ドバイや湾岸諸国で流行ってないのものが、まだあるはずだ。
もちろん、ラムしゃぶも候補の一つになる。
俺が調べた内容をレポートに纏めた、あとは兄貴が選択することになった。

７月の第３週になってFaruqが来日した。
蓮央兄貴の招待なので費用はもちろんKashiragi Trading Inc持ちで、スケジュール管理は俺がすることになっている。
深夜２３時の到着便だったので、俺が出迎えてから羽田空港直結のホテルに泊まって貰った。

翌日、午前１１時にホテルを訪ねた。
出て来たFaruqは、カンドゥーラという白い民族衣装で白スカーフに黒いヘッドバンドをしている。

「Amato、招待に応じて日本にやって来たぜ」

「待っていたよ、日本でも正装なんだな？」

「正式に招待を受けたんだ。一族の誇りを背負っている」
彼の荷物を車に積み込み、品川のOfficeに向かう。
車内で今後の予定を話し合った。

「君の為にホテルの予約はしてあるけど、母が自宅に招きたいと言ってる。
狭い家だけど、日本人の生活が味わえるよ」

「それは、嬉しい。
ホテル生活は退屈で、孤独なんだ」

「じゃあ、Officeに着いたら母親に連絡しておくよ」

品川のOfficeに到着して、ビルの入り口で父親と担当者の蓮央兄貴が出迎える。
車を止めて、俺が後席のドアを開けた。

「よくいらっしゃいました。督木家は貴方を歓迎します」

「Faruqファリーク al kamaliです。今回は、招待頂きありがとうございます」

「それではOfficeにて、打ち合わせと参りましょう」

俺は、車を地下駐車場に移動させてオフィスに戻った。
応接室で兄貴がスケジュールを説明している。
５日間の予定で食品加工工場やレストラン、外食産業Officeなどを訪問する予定になっていた。

「今日の夕食は、レストランを予約しております。
ハラール認証の店ですので、安心してお食事頂けるはずです」
兄は俺がレポートした店を予約したようだ。

「お気遣い、ありがとうございます」

「ではAmatoに自宅まで案内させますので、時間までゆっくり過ごされて下さい」

俺は車をビルの正面に廻して、Faruqを乗せた。
３０分のドライブで自宅に到着、母親の華が出迎える。

「いらっしゃい、Faruqさん。
狭い家ですけど、精一杯のおもてなしをさせて頂きます」

「普段は、Amatoに俺も世話になっています。
頂いた扇子は父親が欲しがったので、プレゼントしたら大いに喜びました。
お母様には、こっちがお礼を言わなければなりません」

どうやらFaruqの来日は、上手く行く予感がした。