女難の男、アメリカを行く

第３章 Sophomore

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翌日、ドバイ市内にあるOfficeビルを訪問した。
Faruqの一族が経営する資産管理会社で、傘下に不動産管理会社を抱えている。
不動産管理会社の中にテナントを経営する部門があり、食品スーパーはその一部門だった。

「うちの家族は湾岸諸国にあるモールの中で、テナント３０店舗に投資して管理している。
そのうち５店舗が食品スーパーだ。
そこに卸すCheeseをNielsen Trading LLCに任せたい」
Faruqが一族の経営幹部に説明していた。

「アッパークラスのアメリカ人やアメリカに憧れを持つ住民が、ドバイに一定数は生活している。
ヨーロッパやオセアニア以外のCheeseは、売れる可能性は高い」
市場調査会社に依頼した資料を、スタッフが読み上げた。

「ファーストフードのテナントが１店舗、空いているんだ。
ホットサンドの店を作ろうと考えている」

「大学のカフェテリアみたいな感じか？」
俺は、JUWのホットサンドスタンドをイメージした。

「ルーベンサンドイッチ（コンビーフとチーズのホットサンド）は、売れるかもな。
隣町のダイナーでよく食べたよ」
Braydenは、ホットサンドはよく食べていたようだ。

その後、Cheeseの仕入れ計画や受け入れ代理店などについて話し合った。
３日目に輸入代理店、冷蔵倉庫会社などを廻って、道筋をつけていく。
全てのスケジュールが終わり、ディナーはFaruqに招待される。
さすがに、彼のプライドを考えると断れなかった。

「ここはアラブ料理の店だ。俺は子供の頃からずっと食べてる」

フムスという豆のディップ、コロッケのようなファラフェル、パセリやトマト、ザクロが入ったタブーレというサラダが前菜だった。

「味付けは違うが、日本の精進料理と共通するものを感じる」

「ヴィーガンが喜びそうだ」
和食とは違うがどこか懐かしい、優しい味だった。

「これは美味い、大好きな味だ」
マチュブースという鶏肉が乗った炊き込みご飯、インディカ米だがカレーピラフっぽい。

「Amatoは、ご飯が大好きだからな」
男３人だが、大学の同級生なので楽しんで食事が出来た。
アメリカでの再会を誓って、店を出てホテルに戻る。

翌日は、飛行機の出発時間までショッピングをした。
母親と舞美、Aurelijaには肌触りのよいパシュミナストール、会社にはお茶請けにデーツを買う。
舞美と自宅用にチョコレートも購入。
Braydenも家族にお土産を買い込み、夕方の便でアメリカに帰る。
俺は深夜便で日本を目指すことになった。