女難の男、アメリカを行く

灰色 猫

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第3章 Sophomore

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あっという間の1週間、明日にはAurelijaがリトアニアに帰る。
今日は彼女の友人や家族のお土産を買うために、ショッピングモールにやって来た。
Seriaに入ってから、もう1時間も経っている。
キッチン用品やメイク道具、文房具を買い物カゴ一杯になる程、入れていた。

「一つ1ユーロ以下なんて、天国だわ」

「3つで2ユーロぐらいだよ」
俺が言うと、100点を目処に買うようだ。
キャリーケースに入る限界まで、買い物をしていた。

夕食は彼女と母が一緒に作って、カレーとポテトサラダだ。
母が豚カツを揚げて、カツカレーになっている。

「海人がアメリカに行く前、自分で作れる料理を教えたの。
あの時もカレーを教えたわ」

「International dayの交歓会で、頂きました。
Amatoの作る料理は全部美味しかったです」

「この1週間、娘が出来たみたいで楽しかったわ。
親戚以外の娘とこれだけ一緒に生活したのは初めてだった。
海人と別れても、彼方は私の娘だと思ってる」

「ありがとうございます。
お母様の招待が無かったら、日本に来ることは有りませんでした」

「私に会いたくなったら、いつでも歓迎するわ」
今日の母は珍しく饒舌だった、多分別れがつらいんだろう。

翌日は、首都高湾岸線経由で成田まで車で送って行った。
母も一緒だが、もうめそめそしている。
Aurelijaが心配して、後部座席で母と並んで座っていた。

「本当にありがとうございます、人生で一番楽しかった1週間でした。
必ず、また逢いに来ます」

出国ゲートの前で、彼女が挨拶をすると母が涙ぐんでいる。
彼女が両手を広げると母が飛びつくようにハグをした。

「ここは俺の役目なんじゃないの?」

「私はママの方が大事なの。Amato、8月にまた逢おうね」
彼女は涙ぐみながら、ゲートに消えた。

****

「ゆっくり休んだだろう、俺の下で仕事を覚えろ」
蓮央兄貴から連絡があった。

翌日からスーツを着て父親と一緒に、品川にあるKashiragi Trading Incの事務所に出社した。
Officeのスタッフに紹介されて、挨拶をする。
この日から2カ月半、兄貴の下で仕事をすることになった。
まずはあいさつ回り、Bucolics Cheese FactoryのCheeseを販売出来るように加工する工場を訪ねた。
8ポンド(3,6kg)のホールサイズでは売りにくいので、ケーキの様にカット。
約200gサイズにして真空パック、Brandのマークと日本語の説明表示ラベルを貼って商品に仕上げていた。

「個人のお客様には、ホールサイズは大きすぎる。
ここで加工して、店舗に卸すんだ」

「売る為の仕掛けが必要なんだね」

「そうだ。商品が良いのは当たり前だが、それだけでは売れない」

Businessの現場を学ぶ、濃厚な時間が始まった。

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