女難の男、アメリカを行く

第３章 Sophomore

２

「素敵なドレスを選んで頂いて、ありがとうございます」

Aurelijaが舞美にお礼を言った。
母に頼まれてあのドレスを選んだのは、やはり佐倉舞美だった。
原宿のStarbucksで待ち合わせたが、大学で講義を受けてから来ている。

「彼方に似合ってた、想像以上だったわ」

「舞美さん、今日のお洋服が素敵です」
メイクをきちんとしてワンピースを着た大学生なんか、JUW俺たちの大学ではまず見かけない。

「ありがとう、今日はどこに行ったの？」

「浅草寺から明治神宮に行ってきた。彼女はお参りする人が多いのに、驚いていたよ」

「Amatoの家に泊まってるんでしょ。sexしてないの？」

「してないよ」
舞美が怪しんでいるので、俺はハッキリと否定した。

「彼方からAmatoを盗る気はないわ。
彼がアメリカに居る間だけ、仲良くしてくれればいいの」

「何でそんなに物分かりがいいのよ？」

「Amatoと私がずっと一緒にいるイメージは無いわ。
夏休みの間、私はヨーロッパに帰って働くし、彼は日本でやるべきことがたくさんある。
今回も彼の母親が招待してくれなければ、日本には来てないもの」

「ごめんなさい、失礼なことを言ったわ。
彼方を侮辱するつもりは無いことは、判って欲しい」

「判ってる、心配いらないよ。
ただAmatoの周りには、私以外の女がいっぱいいるけどね」
二人が俺の顔を見た。

「俺は手を出したりしないよ」

「Amatoは女を引きつける魔力があるの、気をつけて」
舞美は、俺に厳しい。

その後、舞美はAurelijaを連れて洋服を見に行く。
プレゼントしたドレスを買ったお店に入ると、お店のスタッフに彼女が捕まった。

「可愛いのに、凄いスタイル。絶対にクラシックなドレスが似合う」
スタッフたちが似合いそうな試着用の服を出してくれる。

「彼女の母国も、アメリカの大学も、夏でも最高気温が30℃は珍しいんだ。
長袖の春秋ものが欲しいと言ってる」
Aurelijaの希望を俺が伝えた。
用意された中から、英国風ストライプのワンピースを試着することになる。
まずは落ち着いたグレーを選ぶ、彼女のブラウンの髪に映えるはず。
試着室から出て来た彼女は、ため息が出るほど綺麗だ。
胸元のレースに、ブローチ付きのリボンが映える。
パニエで膨らませたスカートは、裾のレースがエレガントだった。

「どうかしら？」
みんなが息を飲んで見ていたので、静かだった。

「素敵、本物のお嬢様だ」
「こんなに着こなして貰えば、嬉しい」
スタッフさんは大騒ぎだった。

その後、5着ほど試着したが、最初のストライプワンピースに決まった。
俺が支払いをすると、ヘッドドレス、バッグなど小物は舞美がプレゼントした。