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第3章 Sophomore
Summer Vacation 1
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地獄のFinal examination、ただし終われば天国(3カ月の夏休み)が待っている。
みんないい成績を取るのに、必死だ。
いい成績を取って奨学金を増額したい、有名大学に転校したい、欲を叶える為には頑張るしかない。
面食らったのは、最後の統計学だ。
Take-home examという形式のテストは、初めての経験だった。
朝9時にメールでレポート課題が送ってきて、提出期限は当日の午後3時。
この6時間、図書館で資料を探すのも良し、ネットで検索しまくるのもOKだ。
ただし、クラスメートとの相談はカンニングとみなされて許されない。
見つかれば即退学、留学生ビザは取り消される。
初めて日本語で検索してレポートを作って、その後に英訳するという手を使った。
何とか時間内に仕上げて送信、今のBestは尽くした。
****
「海人、お帰りなさい」
羽田に到着した俺とAurelijaは一緒に入国ゲートを出ると、母が迎えに来ていた。
「母さん、ただいま。Aurelijaを連れて来たよ」
「こんにちは、お世話になります」
「いらっしゃい、日本を楽しんでね」
母の車で自宅まで帰る途中で、彼女が俺に話しかける。
「どこまでもビルとお店が続いているのね」
「東京は、大きな街なんだ」
彼女は興味深そうに車外の景色を見続けていた。
家に着いて、Aurelijaに母がトイレの場所と使い方を教えていた。
一応、メーカーのHPからダウンロードした英語マニュアルを渡している。
それでもウォシュレットは、初めての彼女には説明が必要だろう。
「いきなりトイレの蓋が自動で開いたのは、驚いた。
日本のハイテクを見せつけられたわ」
「日本では当たり前の事が、世界では違ったりするからね.
俺もアメリカでは、色々と戸惑ったよ」
「Amatoがバスタブに入りたがる意味が判った。
素敵なバスルームが有ったわ」
彼女は、家を出た兄貴の部屋に泊まることになっている。
俺がキャリーケースを持って部屋に案内すると、まるでホテルのようだと喜んでくれた。
「海人、お帰りなさい。
今日は、彼方の好きなものばかり作ったわ。
アウレリアさん、嫌いな食べ物が有ったら遠慮なく言ってね」
母の言葉を、俺は通訳してあげていた。
ダイニングテーブルには、チキン南蛮、ポテトサラダ、出汁巻き卵などが並んでいた。
俺の誕生日は過ぎていたが、家族が祝うのは今日が初めてになる。
「海人、成人おめでとう。
大人になったんだから、責任を持って行動するように」
父が音頭を取って、ビールで乾杯した。
「このサラダ、とっても美味しいわ。作り方を教わりたいくらい」
彼女は、ポテトサラダが気に入ったようだ。
「リトアニアでは、じゃがいもは主食なの。
でもこんなに柔らかくて、美味しいサラダは食べたことが無いわ」
「後でレシピを書いておくね。海人、英訳してあげて」
母は美味しいと言われて、ご機嫌だった。
みんないい成績を取るのに、必死だ。
いい成績を取って奨学金を増額したい、有名大学に転校したい、欲を叶える為には頑張るしかない。
面食らったのは、最後の統計学だ。
Take-home examという形式のテストは、初めての経験だった。
朝9時にメールでレポート課題が送ってきて、提出期限は当日の午後3時。
この6時間、図書館で資料を探すのも良し、ネットで検索しまくるのもOKだ。
ただし、クラスメートとの相談はカンニングとみなされて許されない。
見つかれば即退学、留学生ビザは取り消される。
初めて日本語で検索してレポートを作って、その後に英訳するという手を使った。
何とか時間内に仕上げて送信、今のBestは尽くした。
****
「海人、お帰りなさい」
羽田に到着した俺とAurelijaは一緒に入国ゲートを出ると、母が迎えに来ていた。
「母さん、ただいま。Aurelijaを連れて来たよ」
「こんにちは、お世話になります」
「いらっしゃい、日本を楽しんでね」
母の車で自宅まで帰る途中で、彼女が俺に話しかける。
「どこまでもビルとお店が続いているのね」
「東京は、大きな街なんだ」
彼女は興味深そうに車外の景色を見続けていた。
家に着いて、Aurelijaに母がトイレの場所と使い方を教えていた。
一応、メーカーのHPからダウンロードした英語マニュアルを渡している。
それでもウォシュレットは、初めての彼女には説明が必要だろう。
「いきなりトイレの蓋が自動で開いたのは、驚いた。
日本のハイテクを見せつけられたわ」
「日本では当たり前の事が、世界では違ったりするからね.
俺もアメリカでは、色々と戸惑ったよ」
「Amatoがバスタブに入りたがる意味が判った。
素敵なバスルームが有ったわ」
彼女は、家を出た兄貴の部屋に泊まることになっている。
俺がキャリーケースを持って部屋に案内すると、まるでホテルのようだと喜んでくれた。
「海人、お帰りなさい。
今日は、彼方の好きなものばかり作ったわ。
アウレリアさん、嫌いな食べ物が有ったら遠慮なく言ってね」
母の言葉を、俺は通訳してあげていた。
ダイニングテーブルには、チキン南蛮、ポテトサラダ、出汁巻き卵などが並んでいた。
俺の誕生日は過ぎていたが、家族が祝うのは今日が初めてになる。
「海人、成人おめでとう。
大人になったんだから、責任を持って行動するように」
父が音頭を取って、ビールで乾杯した。
「このサラダ、とっても美味しいわ。作り方を教わりたいくらい」
彼女は、ポテトサラダが気に入ったようだ。
「リトアニアでは、じゃがいもは主食なの。
でもこんなに柔らかくて、美味しいサラダは食べたことが無いわ」
「後でレシピを書いておくね。海人、英訳してあげて」
母は美味しいと言われて、ご機嫌だった。
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