女難の男、アメリカを行く

灰色 猫

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第2章 Freshman

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春休み明けのイベントが、International dayになる。

留学生が中心となって、交流イベントが行われる。
俺とMarika、石田先輩で、日本のブースを立ち上げることになっていた。
壁に掲げる書の題材を考える。
Internationaldayの基本テーマは、Diversity多様性だ。
これに相応しい題材を探し回って見つけたのが、金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」だった。

私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面じべたを速くは走れない。

私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。

ArtGangのスタジオで、全紙(69cm✕136cm)に縦書きで自由な筆遣いで書いていく。
漢詩と違って、仮名交じりの詩文書が日本らしいと思う。
Marikaと石田先輩に見せると、二人は喜んでくれた。

「この詩は、素晴らしいわ。
みんなちがって、みんないい。これこそDiversityを明確に表している」
石田先輩は、興奮気味に話していた。

「解説文を書いてくださいよ。
詩を英文化するのが苦手なので、お願いします」

「判ったわ、その代わり交歓会のメニューはAmatoに任せる」

「何人分作るんですか?」

「15から20人分くらいかな」
カレーだな、カレールーは共通で、揚げたナスかズッキーニを乗せてヴィーガン、ベジタリアンに出す。
ハラールには追加で、認証鶏モモ肉を焼いてつけよう。
牛肉を別鍋で煮て、一般には出せば問題は起きないだろう。

週末に、練習を兼ねてカレーを試作する。
Faruqが参加するのはお約束だが、Jackieも俺が呼んだ。

日本に帰った時、Faruqのカレーにコクが足りなかったことを母に相談した。
それで母から持たされたのが、濃縮昆布出汁だ。
塩分を含んでいるので、味付けも一緒に出来る。

まずはカレールーを作っていく。
玉ネギ、ニンニクを十分に炒めてから、刻み生姜、トマトを投入して煮込む。
カレー粉を入れたら、昆布出汁とベジブロス野菜出汁でルーをのばしていった。
 
並行して、ナスを揚げて鶏肉を焼く。
牛肉を角切りにして、フライパンで焼いた。
ご飯を皿に盛ったら、小鍋でルーで肉を馴染ませてから盛り付けた。

「やっぱり肉が入ると、旨いな」Faruqから合格が出た。

ご飯にルーをかけて、ナスの素揚げを乗せたものも作って試す。

「悪くないが、単調だな」
Jackieからはバツが出た。

「野菜が少ないから、物足りない」
Marikaや石田先輩からも、改善の余地ありと指摘される。
最後に全部乗せを出すと、評判は悪くない。

何処かのカレーチェーン店みたいにするかな。

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