女難の男、アメリカを行く

第２章 Freshman

１５

中間テストも終わってないのに、春休みのスケジュールが埋まってしまった。
バカンスならやる気も出るが、全て仕事絡みだ。
その上、休暇明けにはInternational dayが控えている。
企画のプランや準備もスケジュールに入ってくるので、頭が痛い。

「Brayden、俺のルームメイトのFaruqだ。
Bucolicsビュカリス Cheese FactoryのCheeseを、ドバイで売りたいと言ってる」

「Faruqだ、我が一族はドバイで不動産業を営んでいる。
食品テナントも、いくつか所有してるんだ。
そこの目玉として、Cheeseを取り扱いたい」

俺は、BraydenにFaruqを紹介した。
週末に、Factoryをみんなで訪ねる事で話がついた。

「Amato、二人だけでゆっくりする時間も無いね」
Aurelijaには悪いが、今は仕事優先だ。

「必ず時間は作るから、今はゴメンね」
抱きしめてKissしてから、彼女の部屋を出た。
生理中なのでsexはしないけど、抱きしめたまま一緒に眠りたかった。
部屋に戻って、地質学の予習と英語の予習をする。
朝の５時までかかったが、これで週末は動き回ることが出来るだろう。

土曜日の朝から、３人でBraydenの車で農場に向かう。
俺は３時間しか寝てなかったので、車内では爆睡していた。

「広大だな」
雪に覆われた牧草地を見て、Faruqが呟く。

「これでも中規模クラスらしい。
Braydenは、乳牛を２倍にしないと生き残れないと言ってた」

「どこでも競争だな、厳しいもんだ」

「ああ、みんな必死だよ」
学生の二人が、判ったような話をした。

Braydenが父親に途中経過を報告してから、Cheese Factoryに向かう。
Officeに迎えられてFaruqを紹介すると、工場長が製造工程を案内してくれた。
彼は、一番気にしていたハラール対応のレンネット凝固剤かを尋ねている。
工場側から非動物性レンネットだと確認出来て、安心していた。

「このアルパインチーズは、ヘーゼルナッツの風味とグラスの香りが素晴らしいな」

「これを作る為に、夏の間は牧草地に選ばれた乳牛を放してやるんだ」

「原料乳から違うのか、手が掛かってるな」

「１０年熟成チェダーも自信作だ、その分値段は高価になる」

「顧客は商品さえ良ければ金は出す、値段は問題ない」

Faruqは顧客には、自信があるようだ。
サンプルをいくつか購入して、母国に送っていた。
春休みにはドバイに戻って、ビジネスを進展させたいと話している。

何かが動き出した気がした。