女難の男、アメリカを行く

第２章 Freshman

３

「日本で話が纏まったら、ここで会社を立ち上げたい。
出来ればNielsenニールセン家と我が社の合弁でどうでしょう？」

蓮央兄貴が帰国する前、お別れの夕食会で切り出した。
俺とBraydenがビジネス専攻なのを考慮して、起業を経験させたいと説明している。

「Bucolics Cheese Factoryは輸出の経験が無い、彼方の力を借りることになるだろう。
Braydenがビジネスの経験を積めるなら、手を結ぶことに異論は無い」
父親は前向きだった。

「私もたびたび訪米することが難しい。Amatoを連絡係として使う事を考えています。
二人を中心に、周りに大人を置いて運営したい」
あまりの話に俺もBraydenもあっけに取られていた。

「高い学費を払ってやってるんだ、家に貢献しろ。
但し、働いた分は金を払う」
親に学費を出して貰ったのは、兄貴だって一緒だろう。
自分が払ってる様な言い方には、カチンときた。
だがこれは俺とBraydenとっては大チャンス、小さなプライドに拘る必要は無い。

「判ったよ、ただし俺に出来ることは限られてる」

「初めは俺のメッセンジャーからだ、俺から盗めるだけ盗め。
そうやって、ビジネスを覚えるんだ」
俺の予想以上にスパルタのようだ。

兄貴は、大量の食品を抱えて日本に帰って行った。
俺はNielsen家の牧場で２日間を過ごしてから、Braydenと一緒に大学へ戻った。

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「Aurelija、新年おめでとう。君が戻って来て、嬉しいよ」

「Amato、逢いたかったわ」
Spring semester（春学期）が始まる１日前に、俺たちは再会した。
彼女は事件事故に巻き込まれる事も無く、無事に戻っている。
だが抱きしめると、一言注意された。

「kissはダメよ、今はまだ性感染症検査の結果が出てないの。
彼方を巻き込みたくないわ」
彼女が仕事をした、リアルな現実を突きつけられる。

「君の許可が出るまで我慢するよ」

「生理も来るから、２週間もsexはお預けだね」

「君の健康が一番だ、俺の事は考えなくていい.
君にプレゼントすると約束した書を日本で書いて来た、受け取ってくれ」
冬休み中に、書いた書を渡す。

【 If I'd observed all the rules, I'd never have got anywhere. 】
「もし全てのルールを守っていたら、何一つ成し遂げることはできなかったでしょう」

「私の為に選んだ言葉なんだね、誰の発言なの？」

「Marilynマリリン Monroeモンローが残した言葉だ。
色々と考えたんだけど、君に相応しい。皮肉と取らないでくれ、本心なんだ」

「Amatoは、私を貶めたりしない。
私の事を励ます言葉を選んでくれて、ありがとう」

彼女は書を受け取って、俺に感謝のハグをした。