74 / 169
第2章 Freshman
10
しおりを挟む
「海人、帰りは直行便のビジネスクラスに乗せてやる。
その代わり、12日の出発便だ」
長男の蓮央が、俺と一緒にMinneapolisに行くと言っている。
渡米の目的はBucolics Cheese Factory、Brayden Nielsenの一族が経営している企業だ。
「俺が懇意しているフードサービスの社長に、海人がお土産で持ち帰ったチーズを試食させた。
相当に興味を示してくれたが、量が確保出来るか、安定供給は大丈夫か、経営状態や製造過程まで俺の眼で確認したい。
お前がガイドしろ、我が家にとって大事な話だ」
我が家は曾祖父の代から、輸入商社を経営している。
祖父が大手の商社が取り扱わない、海外の個人商店や中小企業の衣料やファッション製品を輸入して成長した。
親父の代になって、ワインやチーズなど食品の取り扱いを始めている。
今は、蓮央が先頭で海外を飛び回っていた。
兄貴が決定事項として、俺に話している。
親父も了解しているだろうから、これは逃げられない。
「判ったけど、1週間も早くなったから忙しくなった」
****
「帰るまで、毎日逢ってね」
突然の日程変更に、真美は不機嫌になった。
「舞美のスケジュールに合わせるよ」
俺が帰るまでの1週間、舞美と逢うのに手は抜かない。
今日は朝一の予約時間、行きつけの歯科でクリーニングとホワイトニングをして貰った。
アメリカは医療費がバカ高い、日本で治療が出来るものは終わらせておく。
舞美と待ち合わせて、渋谷の蕎麦屋へ行く。
アメリカに居る時に一番食べたかったのが麺類、中でも蕎麦は俺にとって特別だ。
鴨せいろを食べて、追加のそばも頼む。
「海人、良く食べるね」
「こんな蕎麦は、アメリカじゃ絶対食べられない。ラーメンより好きなんだ」
「日本食を持っていくの?」
「向こうで手に入るものが結構ある。インスタント味噌汁とカレー粉、鰹だしの素くらいしか持っていかない」
「海人、料理出来るんだね。
親子丼を作ってるのを見て、ビックリしたよ」
「アメリカに行く前、母に習ったんだ。カレー、丼物、パスタしか作れないけどね」
店を出て、渋谷の道玄坂に向かう。
歩いて行くのがさすがに恥ずかしいのか、舞美はマスクに眼鏡をしている。
netの評判が良かったホテルに入った。
平日サービスタイムなので、一番高いランクの部屋にする。
「評判が良いだけあって、キレイなお部屋だね」
「本当は、温泉にでも連れて行きたかったんだけど」
「仕方が無いよ、一緒に居られる時間が限られてるから」
ライトアップされているジェットバスに、二人で入る。
舞美を俺の前に入れて、後ろから抱いていた。
その代わり、12日の出発便だ」
長男の蓮央が、俺と一緒にMinneapolisに行くと言っている。
渡米の目的はBucolics Cheese Factory、Brayden Nielsenの一族が経営している企業だ。
「俺が懇意しているフードサービスの社長に、海人がお土産で持ち帰ったチーズを試食させた。
相当に興味を示してくれたが、量が確保出来るか、安定供給は大丈夫か、経営状態や製造過程まで俺の眼で確認したい。
お前がガイドしろ、我が家にとって大事な話だ」
我が家は曾祖父の代から、輸入商社を経営している。
祖父が大手の商社が取り扱わない、海外の個人商店や中小企業の衣料やファッション製品を輸入して成長した。
親父の代になって、ワインやチーズなど食品の取り扱いを始めている。
今は、蓮央が先頭で海外を飛び回っていた。
兄貴が決定事項として、俺に話している。
親父も了解しているだろうから、これは逃げられない。
「判ったけど、1週間も早くなったから忙しくなった」
****
「帰るまで、毎日逢ってね」
突然の日程変更に、真美は不機嫌になった。
「舞美のスケジュールに合わせるよ」
俺が帰るまでの1週間、舞美と逢うのに手は抜かない。
今日は朝一の予約時間、行きつけの歯科でクリーニングとホワイトニングをして貰った。
アメリカは医療費がバカ高い、日本で治療が出来るものは終わらせておく。
舞美と待ち合わせて、渋谷の蕎麦屋へ行く。
アメリカに居る時に一番食べたかったのが麺類、中でも蕎麦は俺にとって特別だ。
鴨せいろを食べて、追加のそばも頼む。
「海人、良く食べるね」
「こんな蕎麦は、アメリカじゃ絶対食べられない。ラーメンより好きなんだ」
「日本食を持っていくの?」
「向こうで手に入るものが結構ある。インスタント味噌汁とカレー粉、鰹だしの素くらいしか持っていかない」
「海人、料理出来るんだね。
親子丼を作ってるのを見て、ビックリしたよ」
「アメリカに行く前、母に習ったんだ。カレー、丼物、パスタしか作れないけどね」
店を出て、渋谷の道玄坂に向かう。
歩いて行くのがさすがに恥ずかしいのか、舞美はマスクに眼鏡をしている。
netの評判が良かったホテルに入った。
平日サービスタイムなので、一番高いランクの部屋にする。
「評判が良いだけあって、キレイなお部屋だね」
「本当は、温泉にでも連れて行きたかったんだけど」
「仕方が無いよ、一緒に居られる時間が限られてるから」
ライトアップされているジェットバスに、二人で入る。
舞美を俺の前に入れて、後ろから抱いていた。
3
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる