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第2章 Freshman
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歳末の羽田空港国際線ターミナルは、出入国の旅行客でごった返していた。
俺が最安値のチケットを選んだせいで、トロント経由のエアカナダ便は出発から18時間も掛かって到着した。
「随分、遅かったわね」
迎えに来ていた母親の華は、ご立腹だ。
入国審査と手荷物受取、税関と長蛇の列だった、繁忙期の空港ではよくある事だろう。
「これでも、やっと取れたチケットだったんだ」
「直行便で帰れるチケット代くらい、あげてるでしょ」
Aurelijaのことを考えたら、自分だけ贅沢するのは違う気がしている。
「Transitも経験だよ、今度から一番安い便を使うんだ」
話ながら駐車場に向かい、母の運転するVWゴルフで家に帰る。
夜の環八通りはラッシュも解消していて、40分くらいで自宅に到着した。
まずは風呂に入る、飛行機の中でこればかり考えていた。
12月のJUWの夜は、-7℃は当たり前。なのに温いシャワーしか出ない。
熱い風呂に入れるのは、最高の贅沢だ。
入浴剤が入っているだけで、極上の気分が味わえた。
「お風呂、長かったわね」
「久しぶりに湯船に浸かったよ。熱い湯は最高だった」
ダイニングテーブルには寿司桶があり、江戸前寿司がきれいに並んでいる。
茶碗蒸しとお吸い物も、俺の為に用意されていた。
「海人が寿司を食べたいって言うから、出前を頼んだわ。
全部食べてもいいわよ」
相変わらず、母は俺に優しい。
食べながら、大学での出来事を色々と話す。
「母さんがプレゼントした扇子は、全員が喜んでくれた。
感謝祭に招いてくれた、友人の母親と祖母にもプレゼントしたよ」
「酪農をしている友人一族が経営している、チーズ工場の商品だ。
手作りで、全米コンテストの賞も取っている」
2ポンド(約900g)のブロックを、5種類買ってきた。
手荷物の中から保冷バッグを出して、お土産のチーズを渡す。
「おう、これは旨いな」
母が試しに切って来たチェダーチーズを食べた、親父が驚いている。
大学生活の様子を詳しく聞いてくるので、iPhoneで撮った画像をiPadで見せる。
ますます興味を示して、色々と説明させられた。
BraydenNielsen家の農場には、さすがに両親共に驚いている。
感謝祭の料理や七面鳥のローストにも、興味深々だった。
「海人が仮装してる」
母は俺が仮装するとは、思って無かったようだ。
「何でも経験だ、Halloween はみんなも仮装してるし楽しかったよ」
「このお嬢さん、相当な美人ね」
俺と並んで写っている、Aurelijaを見て母が聞いてくる。
「彼女は、モデルだったんだ」
「だからスタイルがいいんだ。大人の女性だけど、いくつなの?」
「22歳だ、働いてお金を貯めてから留学している。
ヨーロッパでは、当たり前の事らしい」
この夜は遅くまで、母の尋問が続いた。
俺が最安値のチケットを選んだせいで、トロント経由のエアカナダ便は出発から18時間も掛かって到着した。
「随分、遅かったわね」
迎えに来ていた母親の華は、ご立腹だ。
入国審査と手荷物受取、税関と長蛇の列だった、繁忙期の空港ではよくある事だろう。
「これでも、やっと取れたチケットだったんだ」
「直行便で帰れるチケット代くらい、あげてるでしょ」
Aurelijaのことを考えたら、自分だけ贅沢するのは違う気がしている。
「Transitも経験だよ、今度から一番安い便を使うんだ」
話ながら駐車場に向かい、母の運転するVWゴルフで家に帰る。
夜の環八通りはラッシュも解消していて、40分くらいで自宅に到着した。
まずは風呂に入る、飛行機の中でこればかり考えていた。
12月のJUWの夜は、-7℃は当たり前。なのに温いシャワーしか出ない。
熱い風呂に入れるのは、最高の贅沢だ。
入浴剤が入っているだけで、極上の気分が味わえた。
「お風呂、長かったわね」
「久しぶりに湯船に浸かったよ。熱い湯は最高だった」
ダイニングテーブルには寿司桶があり、江戸前寿司がきれいに並んでいる。
茶碗蒸しとお吸い物も、俺の為に用意されていた。
「海人が寿司を食べたいって言うから、出前を頼んだわ。
全部食べてもいいわよ」
相変わらず、母は俺に優しい。
食べながら、大学での出来事を色々と話す。
「母さんがプレゼントした扇子は、全員が喜んでくれた。
感謝祭に招いてくれた、友人の母親と祖母にもプレゼントしたよ」
「酪農をしている友人一族が経営している、チーズ工場の商品だ。
手作りで、全米コンテストの賞も取っている」
2ポンド(約900g)のブロックを、5種類買ってきた。
手荷物の中から保冷バッグを出して、お土産のチーズを渡す。
「おう、これは旨いな」
母が試しに切って来たチェダーチーズを食べた、親父が驚いている。
大学生活の様子を詳しく聞いてくるので、iPhoneで撮った画像をiPadで見せる。
ますます興味を示して、色々と説明させられた。
BraydenNielsen家の農場には、さすがに両親共に驚いている。
感謝祭の料理や七面鳥のローストにも、興味深々だった。
「海人が仮装してる」
母は俺が仮装するとは、思って無かったようだ。
「何でも経験だ、Halloween はみんなも仮装してるし楽しかったよ」
「このお嬢さん、相当な美人ね」
俺と並んで写っている、Aurelijaを見て母が聞いてくる。
「彼女は、モデルだったんだ」
「だからスタイルがいいんだ。大人の女性だけど、いくつなの?」
「22歳だ、働いてお金を貯めてから留学している。
ヨーロッパでは、当たり前の事らしい」
この夜は遅くまで、母の尋問が続いた。
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