女難の男、アメリカを行く

灰色 猫

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第2章 Freshman

Winter vacation 1

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12月22日、Chen教授の歴史学Officeを訪ねた。
アシスタントに要件を伝えると、中に案内される。

「以前は陶淵明による四時詩しいじしの朗読を聴かせて頂き、ありがとうございました。
書に書いてみたので、受け取って頂けますか?」

  秋 春
  月 水
  揚 満
  明 四
  暉 澤
     
     
  冬 夏
  嶺 雲
  秀 多
  孤 奇
  松 峰

敢えて古い隷書体で縦書き二行に書き上げた、半切作品(35✕136㎝)を取り出して見せた。

「素晴らしい、整った文字の美しさは特別な感動がある 。
君はどう思う?」
アシスタントに聞いている。

「上手いと思います、古い書き方ですね」

「紀元前200年の字体だからな。
上下が抑えられて横に広いのは、紙がない時代だから竹簡に多くの文字を書くためだ」
流石に歴史学者、判ってらっしゃる。

「褒めて頂いて嬉しいです。どうぞ受け取って下さい」
持ち帰れるように紙筒のケースも一緒に渡して、Officeを出た。

「君がAmatoか?」
帰ろうとすると、さっきのアシスタントから呼び止められる。

「人に名前を聞くときは、まず自分が名乗るのが礼儀だろ」
礼儀知らずに一発かましておく。

「俺は中国留学生の朱辰傑だ。君の名前はCynthiaから聞いていた」

「何か用事があるのか?」

「アジア人留学生のグループがある、一緒に活動しないか?」

「俺は群れるのが嫌いだ、自分の意思で自由に動きたい。
悪いが断る」
これ以上関わりたくないので、ハッキリと意思表示しておく。
せっかくアメリカに留学したのに、アジア人同士で群れるってどんな罰ゲームだよ。

夜は、ArtGangのパーティーがある。
Aurelijaを同伴して参加の予定だ、昼間にみんなでスタジオを片付けた。
その後、クリスマスの飾り付けをして、パーティー会場の壁にみんなで壁画を描いていく。
部長に促されて、俺はペンキ筆を持った。

【 Happy Holidays 】
Christmasより多様性に配慮して、冬休みを祝う言葉を部長が指定した。
黒いペンキを使って、一番上にでっかく筆記体で書き上げる。
みんなが協力して、壁画は完成した。
その前で、メンバーが交代で自撮りをしていく。
夜にまた集まる約束をして、一旦解散した。

ネイビーブルーのチェスターコートに黒ニット、黒パンツ、ドレスシューズ。
舞美がセレクトしたコーデで、Aurelijaを迎えに行く。

「Amato、とっても素敵。私も黒のコーデにするわ」
出て来た彼女は、ひざ丈のスリップドレスにフェイクファーのコートだった。

「どう?」
モデル立ちした彼女は、Sororityのメンバーに負けないどころかTOPになれるほどだった。
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