女難の男、アメリカを行く

第２章 Freshman

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１２月に入り、justitiaユースティティア University はピリピリした空気に包まれている。
Final最終試験まで２週間、年末最後のイベントが始まった。

「AmatoのPoetry詩は固すぎる、面白味が無いんだよ」
Braydenブレイデンからの指摘が突き刺さる。
俺は詩が苦手だ。
日本語で考えても、上手く作れない。
結局、辞書を引きまくって同じ意味で別の単語に入れ替えてみる事にした。
Braydenに数学の課題を教えながら、解かせていく。
かなり理解が進んで、もう不可を取る心配は無いだろう。
課題が終わってから、気になっていた事を聞いてみた。

「いつからCherylシェリルと付き合ってるんだよ？」

「Rennaレンナにフラれてから、Cherylの良さを思い出した。
やっぱり、俺を思ってくれる女性が一番だ」
これ以上聞くと惚気られそうなので、止めておいた。

数学の後、ArtGangのスタジオに行った。
さすがに普段より少ない。
机に座って１時間ほど練習してから、半切に行書で四時詩を書いていく。

　秋　春
　月　水
　揚　満
　明　四
　暉　澤
  　  
  　  
　冬　夏
　嶺　雲
　秀　多
　孤　奇
　松　峰

中国の詩人陶淵明が四季の特色を一句五言で表現した句を、縦書き二行で書き上げた。
中国系アメリカ人のKeanキーンが見に来て、俺に何て書いてあるか聞いてくる。

「春には雪解け水で四方の沢が満ち、夏には入道雲が峰のように湧きたつ。
秋には月が澄み渡る夜空に輝き、冬には嶺に立つ一本の松のみが高くそびえている」

「漢字って難しいけど、意味が深いなあ」

「日本では、約2,000文字を学校で習うんですよ。中国だったらもっとでしょうね」

「Amato、俺にも一枚書いてくれ。祖母に贈りたい」
俺は五種の書体で書いたiPhone画像を渡して、好きな書体を選んで貰うことにした。

「試験終わりまで待って下さい。終われば書きますよ」
試験後に書きあげる約束をして、二人で夕食に向かった。

俺とKean、カフェテリアで夕食を取ってると、Sorority（白人女性の社交クラブ）のメンバー５人に囲まれた。
Valerie、Clariceも一緒だ、その中のボス猿が俺に噛みついた。

「Amato、Arielアリエルを困らせてどうするつもり？」

「別に困らせるつもりは無いよ、彼女は俺が出した条件を飲んだんだ。
嫌なら、断ればいい」

「強気なのね」

「ああ、黄色い猿にもプライドはあるんだ」
強気なボス猿には、強気で答える。

「Arielに伝えてくれ、Finalに影響するなら降りても構わない」

「伝えるわ、Finalにまで気を使ってくれたことには感謝する」

最後は、無事に話がつく。
Sororityって、意外に結束が固いんだという印象を受けた。