女難の男、アメリカを行く

灰色 猫

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第2章 Freshman

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「今回は感謝祭のお祝いに招待頂き、ありがとうございました。
ホームパーティーに呼ばれるような事があれば渡すようにと、日本の母親から持たされたものです。
受け取って下さい」

金曜日の朝、帰る前にNielsenニールセン家族にお礼を渡す。
祖父と父親には日本手ぬぐい、祖母と母親には京扇子、妹のMarciaにはイルカがプリントされたTシャツをプレゼントした。

「こんな素敵なプレゼントをありがとう」
市松模様の扇子を広げて、母親が喜んでくれた。

「アメリカの感謝祭を経験出来たことは、お金には代えられません。
こちらこそ、大変ありがとうございました」

Braydenの運転で大学に戻る、家族総出でお見送りしてくれた。
途中、近くの町で女の子を乗せる。
Cherylシェリルは健康的でアメリカンサイズの体格、おおらかで明るい。
Braydenとは高校の同級生で、今はDuluth Universityに通っている。
感謝祭休暇で実家に戻っていたので、デートを兼ねて送っていくようだ。

「帰りにDuluthのショッピングセンター通りに寄って、Black Friday Saleを見に行こう。
Amatoは初めてだろう?」

「ああ、よく解ってない」

「駐車場に入れないほど、混雑してるよ」
アメリカのショッピングセンターの駐車場は、半端なく広い。
端っこに停めたら、店までが遠いと感じるレベルだ。
あれが満車になるとか、どんだけ集まるんだよ。

「クリスマスグッズが買いたい、寮の部屋を派手に飾りつけするの」
彼女のCherylがリクエストして、TARGETに行くことになった。
Superiorの街にはWalmartは有るけど、TARGETが無い。
自転車で行ける距離じゃないので、連れて行って貰えるのは嬉しい。

「Amato、何でJUWに留学したの?」Cherylが直球の質問をしてきた。

「俺が育った東京は、3,000万人の都市圏なんだ。
NYニューヨークD.C.ワシントンを加えても、まだ足りない。
田舎に憧れても、不思議じゃないだろう?」

「だったら、JUWじゃなくてDuluth Universityでも良かったんじゃない?」
どうやらCherylは自分の大学が選ばれなかったのが不満らしい。

「いやJUWと両方受かったけど、英語学校で事前講習を選択出来たからJUWにした」

「Amatoはすごく勉強が出来るんだ。
俺は数学を教わっている、教え方が先生以上に上手い」

「俺もBraydenに英語を教わってるよ」
和気あいあいと話しているうちに、TARGETに着いた。
前に着た時と比べられないほど、車が停まっている。

俺とAurelija、BraydenとCherylに別れて、店内を見て回る。
30から50%offのPOPが商品を飾っていた。
確かに安いが、俺が欲しいものが無い。

辛ラーメンとキューピーのドレッシング、コーヒーメーカーのカプセルなど、食品を買う。
電話で呼ばれて車に戻り、Cherylを大学寮まで送っていく。
二人の別れのkissがウザいほど長かった。

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