女難の男、アメリカを行く

第２章 Freshman

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嵐のようなFirst Weekが終わった。

結局、物理学と地質学は物理を受講する事にして、地質学はdropする。
Spring semester（春学期）に再度、受講することにしてAcademic Adviserに報告した。
その場で地質学はdropされて、記録には残らない。

物理学は、高校時代に鍛えられたのが役に立つ。
University Studies（共通科目）レベルなら、日本の進学校理数クラスで物理を選択していれば、GPAスコア４は確実に取れそうだ。
経済学は、英語と並んで難敵だ。
資料と専門用語の波に溺るほどの資料読みと要点整理を要求される。
予習して自分の考えを纏めておかないと、講義のスピードについて行けない。
ビジネス専攻ではAdditional Requirements（専門科目の前に取っておくべき科目）なので、落とせないのだ。
Artは、先生から高評価だった。
成績に拘らないで集中出来るのが楽しい、作品の提出期限を守れば大丈夫だろう。
書道の精神は忘れないが、自由な表現で自分の書道を追求したい。

基本的な戦略は、数学、物理、ArtでGPAスコア４を狙う。
経済学と英語は３点台でOKという目標にした。

開放感を感じられるのは、金曜日の夜だけだ。
週末のうちに洗濯も終わらせたいし、予習もしなければならない。
なのに夕食前、オリエンテーションで一緒だったValerieヴァレリーとClariceクラリスに呼び出された。

「Amato、久しぶり。ちょっと話したい事がある」

「いいけどsoroity（女性の社交クラブ）に入会する為、忙しいんじゃないの？」

「大事な話なの」

「何だよ？」

「留学生がレイプされた噂がある。その相手がAmatoじゃないかって？」
Valerieの話は、後ろから殴られたような衝撃だった。

「Sexual 性的Consent同意の話をした時、ちゃんとしてるって言ったよね？」
Clariceの追及は、まるで女の敵扱いだ。

「相手もある話だ、俺から一方的な主張をしても信じられないだろう。
二人だけに言うが、俺の行動は問題ない」

「まあ、被害届が出てる訳じゃないから」
二人は急に弱気になった。

「パーティーに行く前にとても喜んでいた子が、急に塞ぎ込んでる。
何かあったと思われてるのよ。
二人がプールでkissしてるのは、みんな目撃してるから」
状況証拠は揃ってる、俺は追い込まれているようだ。

「彼女が自分から話すまで、俺は言い訳も主張もしない。
容疑者扱いも受け入れるよ」

「それでいいの？」

「自分を守る為に、プライベートな事を人に話す趣味は無い」

「私達とは、価値観が違うのね」

「そうか？俺は、これ以上彼女を追い込みたくない」

「Amatoは優しい」

「俺は彼女が守られれば、それでいいんだ」