女難の男、アメリカを行く

第２章 Freshman

１２

Welcome Weekも最終日、朝からStudent Involvement Fair（サークル新入生勧誘イベント）が行われていた。
Jackieと二人で見て回る。
感心するのはノベルティが充実していることだ、ある程度見て回っただけでTシャツを３枚受け取った。
他にも、エコバッグや水筒などが無料で配られる。
食べ物や飲み物も無料で振舞われていた。

お目当てのArt系クラブ、ArtGangとDestinationという二つが仲良くデスクを並べていた。
活動内容が判らないので、ArtGangで尋ねてみる。

「Art系では、ここの二つが中心なのか？」

「ああ、どっちかに入れば間違いない。希望者なら作品を見せてみろ」
受付の兄ちゃんが生意気な口を利くので、iPhoneで漢字の書を見せる。
俺を待たせて奥に行くと、アジア系の男を連れて来た。
iPhoneの画面を見ると、驚いた顔をしている。

「お前が書いたのか？」

「日本にいる時は、漢字を中心に書いていた。大学ではAlphabet Japanese Calligraphyを極めたい」
そう言って、過去の作品を見せてやる。
【Just do it】【Don't be evil】【I’m lovin' it】有名企業のキャッチフレーズは素人でも判り易い。
集まって来た連中から感嘆の声が上がった。
突然、肩を掴まれてテントの奥に拉致られる。

「うちのサークルに入らないか。定期的に展覧会をやっているから発表の機会もある。
作品を書くスタジオもあるから、いつでも自由に使えるぞ」
部長らしき男が俺に話をするが圧が凄い、ただ出された条件は悪くない。

「今、書きたい作品はあるのか？」

「語学学校の仲間に書をプレゼントするから、スタジオを使いたい」

「テストでいいから、一度スタジオを訪ねてくれ」
サークルの連絡先を聞いて、返事は保留した。

Jackieを探して国際センターの方向に向かうと、International ClubにMinjuとMarikaがいた。

「Amato、何かサークルに入ったの？」

「Artのサークルを見つけた。Minjuは何か見つかった？」

「私たち二人はヨガサークルに決めたよ。International Clubには登録をしておくつもり」

「Cynthiaはどうしたんだ？」

「Chinese Students & Scholars Associationを見に行った」

金曜日の夜は、ナイトイベントが目白押しだ。
MovieNight、サイレントディスコ（ヘッドホン使用）、プールサイドパーティーなど、何に参加するか迷うほどだ。
部屋に戻り、シャワーを浴びてベッドに横になる。
iPhoneにお誘いのメールが３件着ている、誰にするか一瞬迷った。