女難の男、アメリカを行く

灰色 猫

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第1章 Start

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女子寮には、男子は1階のパブリックスペースまで入ることが許されている。
夏休み中はRAレジデンスアシスタントがいないので、部屋を訪ねることは禁止されていた。
男3人が女子寮の前まで行くと、Cynthiaたちが迎えてくれた。

キッチンルームに案内されて準備を始めると、4人の女性たちも参加するようだ。
まずは、俺とFaruq、Jackieが最初に接待をすることにした。
俺のテーブルには、Cynthia、Minju、Marikaが座っている。
前回と同じ手順で、説明しながら玉露を淹れていく。

「一杯目は、純粋にお茶を味わって貰いたい」

「緑茶なのに、強く甘味を感じる」
「お茶の味も、香りもいいわ」
「美味しい、心が落ち着く」
3人が楽しんでいる間に、2煎目を用意していく。

「2杯目からは、好きな菓子と一緒に楽しんでくれ」
持ち寄った菓子を食べながら、3煎目を楽しんで貰う。

「作法には、こだわらないんですね」

「Marika、客には楽しんで貰えば良いんだ。もてなす側が、守ってればいい」

「Amato、無理を言ってごめんね。素敵な時間だった」
Cynthiaは満足してくれたようだ。
俺は茶道具を片付けて、Faruqのテーブルに行きアラビックコーヒーをご馳走になる。
小さめのカップを使うところは、俺と同じだ。
口に含むと漢方薬のような香りが強い。
俺には合わないと思ったが、お茶請けに出たデーツと一緒に飲むと不思議にイケる。
何度か飲むうちに癖になりそうな味だった。

Jackieの淹れる烏龍茶は、旨かった。
煎れたては香りが強い。知っている分、安心感がある。

茶器を洗って、Faruq、Jackie、エチオピア人のMaazaマーザに玉露を振舞う。
急須に入れたお湯を湯呑みから湯冷ましと移していくのが、珍しいようだ。
器を温めながら、お湯の温度を下げると説明すると頷いている。

「この繊細さは、日本的ね」Maazaが感心していた。

「Amatoのお茶は、俺のアラビックコーヒーとは対極だな。
俺たちの関係みたいだ」 Faruqは、思うところがあるようだった。

その後は、Cynthiaがジャスミン茶、Minjuが五味子茶、Marikaがほうじ茶を用意していた。
皆んなでお茶を飲みながら、ワイワイやってると留学気分が盛り上がる。
チリ人のLeticiaレティシアと話していると、彼女の英語が聞き取れていく。
お互いに伝える気持ちがあれば、話は出来る。

「今度は、私がマテ茶を振舞いたいわ」

「いいね、違う文化を知ることは楽しいよ」
積極的に初めてのメンバーと話して、友達の輪を広げていく。
2時間の楽しい時間が過ぎて、俺たちは女子寮を後にした。

「Maaza、魅力的だったな?」Faruqが俺に話しかける。

「確かに美人だ。スタイルが日本人とは根本的に違ってた」

「Leticiaが小柄で、可愛いかった」
JackieはFaruqとは好みが違うようだ。
男子寮に着くまで、俺たちは女子の品定めを続けた。

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