女難の男、アメリカを行く

第１章 Start

９ ＊

俺とKellyは、ベッドの上で向い合ったまま繋がっていた。
太腿の上に跨またがっている彼女は、前後にゆっくり動きながら話しかけてくる。

「Amatoは優しい」

「何の事？」

「ちゃんとゴムを付けてくれた。私がイクまで前戯してくれたし」

「お互いの信頼とリスク回避の為に、必要な事だろ」

「私はピルを飲んでいるけど、確かめもしないで sexをしてくる野郎がいるの」

彼女が俺の首に手をかけて、kissをしてくる。
お互いに舌を絡め合って、息が止まるほど長く続けた。
Kellyが俺を押し倒し、太腿の上に乗ったまま腰を擦り付けるように動き出す。
手をつなぐ習慣は無いのかな。
俺が下から両手を出すと、戸惑いながら彼女も両手を合わせて来た。
指を絡めて恋人繋ぎで支えてあげると、さらに激しく腰を振っている。
極限まで動き回り、遂にKellyが声をあげてイッた。

「最高だった、次はAmatoの好きにしていいよ」

「じゃあ、Kellyの顔を見ながらしたい」
俺は入れ替わるように上になり、彼女の中に入って行った。
Kissをしながらゆっくりと動いていたが、だんだんと彼女の息が荒くなっていく。
呼吸を合わせるように、強く突いて発射した。

彼女がシャワーに行ったので、着替え用のTシャツを探す。
白鯨のイラストがプリントされたものが有ったので、出て来た彼女に手渡した。

「素敵、とっても可愛いの」
Tシャツを着たKellyは、気に入ったようだ。

「プレゼントするよ、日本から持って来たんだ」

「ありがとう、本当に嬉しいよ」

そう言うと、Kellyは話し始めた。
私は３年生（専門課程）から、Chicagoにある大学のビジネスコースに編入する。
アメリカの大学は授業料が超高額だし、住宅費、食費も上がり続いている。
奨学金が高い方を選ぶのは当然だ。
そのうえに就職は、大学と企業のネットワークに左右される面が大きい。
自宅から通える上にインターシップに有利になるのなら、彼女にとって転校は当然の事だった。

「Amatoもビジネスを専攻するんでしょう？」

「ああ、最先端のビジネスを学びたくて留学したんだ」

「だったら、２年生までにGPAスコア（成績）を上げて、この近くならMinneapolisか、Chicagoの大学に転校しなさい」

「JUWじゃダメなのか？」

「法学や教育なら、JUWでいいわ。
でもビジネスは協賛してくれる企業が多い大学じゃないと、最先端の実業は学べない」
これがアメリカの常識か。
常に上を目指すことが当たり前の世界を、Kellyが教えてくれた。

「Amatoなら出来る、だって１週間前と発音とリズムが桁違いだもの。
彼方の向上心が有れば、大丈夫」

最後まで俺を励ましてくれたKellyを、寮まで送って行く。
朝焼けの太陽が眩しい中、俺たちは別れのkissをした。