女難の男、アメリカを行く

２

「いつ運転免許を取ったのよ？」
助手席に座っている作倉舞美が、俺に聞いている。

「去年の夏休みに２週間、宮崎の合宿付き自動車学校に行った。
日本の運転免許はアメリカで使えるから、国際免許の申請もしてある。
高校を卒業したから、先週から運転してるんだ」

普段は母親が買い物に使っているV Wフォルクスワーゲンゴルフを俺が運転して、埼玉にあるテーマパークまで来た。
駐車場に車を停めて、１時間ほどデートを楽しむ。
iPhoneで自撮りして証拠写真を撮ったら、次の目的地に向かった。

舞美がiPhoneのナビで道案内をしてくれて、コテージが立ち並ぶラブホテルに到着する。
選んだコテージの駐車スペースから、直接部屋に入った。

「広いね、沖縄のリゾートみたいだ」

「ラブホテルなんて行く機会が無いから、netで調べたの」

「いいとこのお嬢様が何やってんだよ」

「海人にしか、頼めないもの。
折角だから、面白そうな所を選んでみた」

舞美は、欲望に正直なタイプだ。
俺の首に腕を回して、キスを迫ってくる。

「kissして」

「kissだけでいいんだ」

「抱くのは後でいいわ」

答えるように唇を合わせる。
唇を開けた隙に舌を滑り込ませてると、向こうから絡めてきた。
お互いを求めるように抱き合って、長いkissだった。

「折角だから、ジャグジーに入ろうぜ」
室内を見て回ると、塀で囲まれた屋外のウッドデッキにジャグジーが付いている。
お湯を出して部屋に戻り、舞美を誘った。

俺は全裸になって、露天のジャグジーに入った。
吹き出すジェットバブルが、運転の緊張から身体をほぐしてくれる。
脚を伸ばして、思い切りリラックスしていた。

長い髪を濡らさないように、シャワーキャップを被った舞美が俺の前に入ってくる。
向かい合うと、少し離れ目のアーモンドアイが可愛い。
本人は昔から気にしているが、個性的で俺は好きだ。

「何、ジロジロ見てるの」

「いや、可愛いいなって思って」

「じゃあ、何で彼女にしてくれなかったのよ」

「舞美と付き合ったら、君を置いてアメリカに行けなくなるだろ」

「本当に置いていくのね？」

「ああ。舞美を５年も待たせられない」

「言ってくれたら、待ってるのに」

「そうやって拘束されるのが嫌なんだ。
舞美も俺に縛られるな、君の自由を奪いたくない」

「納得は出来ないけど、海人の考えてる事は判った。
でも今日だけは忘れて、私を愛してね」