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最終章

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東京に戻ってからは、溜まっていた仕事に追われた。
ウェディングドレスのレンタルは、俺たちがロンドンに行っている間に合意していた。
solemnityとスペキアーリスグループは、5月からレンタルの受け付けで6月のジューンブライドに間に合わせる。
ギリギリのスケジュールだが、ドレスの製造、募集の準備が進んでいた。

フィーデスと一ノ瀬流通グループの不動産部が会議を重ねて、東京、名古屋、大阪、福岡にvivacitasの単独店舗を出店することが決まっている。
後はテナントの選択と時期だが、9月のJapan Ladys Fashion WeekまでにはOpenする予定だ。

solemnity本社に作られるティールームは、店舗デザイン会社と打ち合わせが完了した。
後は出来てくるデザイン待ちの状態だ。
この経過は西急百貨店には連絡済みで、私が作った企画書も渡してある。
サロンに作るティールームと同サイズなので、百貨店側もプランが立てやすいはずだ。

聖苑は俺とは別に、軽井沢スペキアーリスホテルにティールームを作る提案書を出した。
ホテルの中庭に面したテラス席を要する本格的なもので、俺達がロンドンで見たものと比べても最大級だろう。
実現は簡単には行かないと、俺は思っていた。

が、スペキアーリス側は、提案を受け入れた。
元々、このリゾート運営会社の本社はスイスにある。
日本法人は一ノ瀬グループとの合弁事業だが、運営はヨーロッパ流だった。
テラス席を要するティールームなど、ヨーロッパのリゾートでは当たり前の施設だ。
スイス本社からヨーロッパに有るティールームの設計図が送られて来て、直ぐに工事のスケジュールが決まった。

「本当に作っちゃうんだ」

「スペキアーリス側は、前から創りたかったと思うよ。
私は背中を押しただけ」

「ホーリールード宮殿で話した時には、確信が有ったんだね」

「確信じゃないけど、根拠の無い自信は有った」

このお嬢様にはかなわない。
ビジネスの閃きは、天才だ。

「あの時の約束だ、秋にsolemnityで貸し切りさせてくれ」

「その前にやる事が有るわ」

「何?」

「私達の結婚式よ。このティールームで披露宴をするの」

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