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最終章

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「Japan Ladys Fashion Week spring/summer Collectionの開幕です」

開会宣言がコールされて、ショーが始まる。
俺は関係者席で加山社長、フィーデスの松本社長、一ノ瀬聖苑と一緒に見ていた。
バックヤードでは口を出さずに、ファッションプランナーの任せている。
俺は人を使う事にまだ慣れていない、上に立つ苦しみも勉強中だった。

「どうだ、下からランウェイを見上げる気分は?」
松本社長から、揶揄からかわれる。

「モデルを送り出すまでの苦労を知らずに、ランウェイを歩いていました。
今考えたら、申し訳なかったです」

「裏方は裏方の楽しみもある、今回は勉強になっただろう?」

「それは、間違いないです。
他のプロデューサーと交流したり、他のブランドを観察する事が出来ました。
視点を変えると、参考になることも多かったです」

「それでいい、歩みを止めなければいいんだ」
一ノ瀬社長の右腕で、フィーデスを任されている松本社長の言葉が温かった。

vivacitasの出番が始まった。
先頭を切って、三島悠花が出てくる。
広めの肩幅が外人モデルのようで、力強いウォーキングが頼もしい。
花柄プリントのワンピースが春っぽくて、観客のコールを浴びていた。

キャミワンピにジャージを合わせた、プロケットコアで出てきた野原美穂が目立つ。
長身で脚が長いので、スポーティな組合わせが引き立つ。

ten strikeのメンバーは、パンツスタイルで続いていく。
ただ一人、チェックスカートの鮎川萌香がアクセントになっていた。
隣を歩くショートカットの飛田菜々が、カップルのように見える。
やはりこの二人は、ズバ抜けて目立っていた。

このコレクションからvivacitasは、最新のトレンドを取り入れている。
solemnityとの明確な差別化が図られて、両立を目指していた。
観客の反応を見ていると、評判は悪くないようだ。
加山社長を見ると、満足そうな表情が見て取れる。

他のブランドを見ていると、Cauliflaの専属モデルとして古田美那が出て来た。
JLWにゲストモデルとして招待されてから2年が過ぎて、ついにTOPモデル20人に選ばれている。
当初はアイドルからの転身に苦労したようだが、田中社長との約束通りに成長していた。

大手カジュアルブランドと専属契約をしている、cloud nineが元気に歩いている。
特に加藤みさきは、fanの声援が凄まじい。
ファッションウォーキングを無視して飛び跳ねてるが、それがまた似合ってる。
上手く個性を引き出した、演出だった。


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