蒼い海　～女装男子の冒険～

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第十七章　決断

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「今まで一ノ瀬グループが後援していた出利葉花蓮プロは、今シーズンよりフィーデス所属となります」

女子ゴルフツアーの開幕直前、フィーデス本社で記者会見が行われた。
ガーデンズオフィスの田中社長が一ノ瀬流通グループの営業本部と交渉をまとめて、広告効果が高いフィーデスに移籍する形で決まる。
記者会見に出席した出利葉花蓮プロは、vivacitasのワンピースを着ていた。

「クラブとウェアはGifted社の提供で、出利葉プロの着用するウェアはフィーデスのECサイトで独占販売が決定しました。
私服は、フィーデスがvivacitasブランドを提供します。
本日は、新作のワンピースを着て頂きました」
司会者が契約内容を発表して、資料が取材陣に配布された。
直ぐに質疑応答が始まる。

「出利葉さん、今年から角川プロの指導を受けているようですが、理由をお聞かせ下さい」

「将来の夢として、アメリカ女子ツアーやヨーロッパの試合に出てみたい。
そのために、スイングを世界に通用するものに変えたかった。
私が一番理想とするスイングをしていたのが、角川プロだったんです」

「角川プロは、今まで女子のコーチを断っていました。
どうやって口説いたんですか？」

「お会いして、私の思いをぶつけただけです」

「内容をお聞かせ願いたい」

「結果が出るまでは秘密にしておきます。
ご迷惑がかかるので、角川プロに直撃取材とかは無いようにお願いしますね」

「結果というのは？」

「優勝することです、特に日本タイトルですね」

「手ごたえは有りますか？」

「勝ち負けは相手が有ることですから、何とも言えません。
ただスイングは自分の中で完成度７割くらいです。
後は実戦で固めていくしか、ありません」

出利葉花蓮は、記者の質問にはきはきと答えている。
以前より自信がついたのか、笑顔も見えていた。

「お疲れ様、これも仕事のうちだ。
マスコミ対策は我が社の得意とするところだから、何でも相談してくれ」
終了後、田中社長が声を掛けた。

「今回は、一ノ瀬グループ内の調整を有難うございました」

「金の話は、俺の専門だ。
君は、ゴルフで結果を出してくれればいい」

「頼りにしてます」

「一ノ瀬社長に俺に任せてくださいって、大見え切ってきた。
最善を尽くすよ」
芸能界一本でやってきた田中社長は、新規事業にやる気を見せていた。

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