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第十七章 決断
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1月に一ノ瀬流通グループの調査部に出していた、ゴルフウェアの調査依頼の結果が帰って来た。
報告書を読む経営陣の顔つきが厳しい。
「簡単じゃないとは思っていたが、これは相当難しいな」
加山社長が口を開く。
「今シーズン着るウェアの事も有りますから、私から出利葉さんには断りを入れます」
俺は直接会って、話をすることにした。
ゴルフウェアの市場は、想像以上に激戦区だった。
競技志向や選手と同じものを好む人向けに、国内外のゴルフクラブ、ボール、シューズのメーカーがしのぎを競っている。
オシャレな人向けには、ファッションメーカーが独自ブランドを出している。
さらにライフウェアのチェーン店やフィーデスのような通販会社も、ポロシャツやストレッチパンツを売っている。
安価な商品求める顧客は、そちらに流れていた。
solemnityがゴルフウェアを出す為には、ターゲット層を絞ることがカギとなる。
今はまだ、見いだせてなかった。
……
2月中旬、千葉にあるゴルフ場を訪ねた。
1990年代にアメリカの男子ゴルフツアーで戦っていた、角川英明プロが後進の指導に当たっている場所だ。
今年から出利葉花蓮は、ここで男子プロに混じって練習している。
到着してから午前中の練習が終わるまで、俺は見ていた。
彼女が昼食を取った後、クラブハウスの個室で面会した。
角川プロが同席して、俺の話を聞いている。
出利葉プロは、俺の断りに笑顔で答えてくれた。
「伊王さんが色々と手を尽くしてくれた事は、一ノ瀬グループの方から聞きました。
今年のウェアは、クラブの契約をしているメーカーが無償提供してくれる事になっています。
安心してください」
「力になれなくて、ごめんなさい。
もし進展することが有れば、必ず連絡します」
話をした後、彼女は練習に戻って行った。
俺は角川プロから、呼び止められた。
「一ノ瀬グループに彼女のマネージメントを出来る部門は無いのか?」
「どういうことですか?」
「大体、ウェアの話などマネージメント会社が彼女の希望を聞いて各社と交渉する。
ゴルフクラブやボール、ツアーの移動手段、ホテルの手配、食事まで全てだ。
選手はプレーに専念する、それ以外の事は全てマネージメント会社の仕事。
それが世界の常識なんだ。
花蓮を勝たせたかったら、それを準備しろ」
俺は直ぐに東京に戻って、ガーデンズの田中社長に角川プロの話をした。
田中社長は、俺の話を一瞬で理解したようだ。
「蒼海君、ありがとう。後は、俺に任せろ」
何やら自信有り気に笑みを見せた。
報告書を読む経営陣の顔つきが厳しい。
「簡単じゃないとは思っていたが、これは相当難しいな」
加山社長が口を開く。
「今シーズン着るウェアの事も有りますから、私から出利葉さんには断りを入れます」
俺は直接会って、話をすることにした。
ゴルフウェアの市場は、想像以上に激戦区だった。
競技志向や選手と同じものを好む人向けに、国内外のゴルフクラブ、ボール、シューズのメーカーがしのぎを競っている。
オシャレな人向けには、ファッションメーカーが独自ブランドを出している。
さらにライフウェアのチェーン店やフィーデスのような通販会社も、ポロシャツやストレッチパンツを売っている。
安価な商品求める顧客は、そちらに流れていた。
solemnityがゴルフウェアを出す為には、ターゲット層を絞ることがカギとなる。
今はまだ、見いだせてなかった。
……
2月中旬、千葉にあるゴルフ場を訪ねた。
1990年代にアメリカの男子ゴルフツアーで戦っていた、角川英明プロが後進の指導に当たっている場所だ。
今年から出利葉花蓮は、ここで男子プロに混じって練習している。
到着してから午前中の練習が終わるまで、俺は見ていた。
彼女が昼食を取った後、クラブハウスの個室で面会した。
角川プロが同席して、俺の話を聞いている。
出利葉プロは、俺の断りに笑顔で答えてくれた。
「伊王さんが色々と手を尽くしてくれた事は、一ノ瀬グループの方から聞きました。
今年のウェアは、クラブの契約をしているメーカーが無償提供してくれる事になっています。
安心してください」
「力になれなくて、ごめんなさい。
もし進展することが有れば、必ず連絡します」
話をした後、彼女は練習に戻って行った。
俺は角川プロから、呼び止められた。
「一ノ瀬グループに彼女のマネージメントを出来る部門は無いのか?」
「どういうことですか?」
「大体、ウェアの話などマネージメント会社が彼女の希望を聞いて各社と交渉する。
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選手はプレーに専念する、それ以外の事は全てマネージメント会社の仕事。
それが世界の常識なんだ。
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俺は直ぐに東京に戻って、ガーデンズの田中社長に角川プロの話をした。
田中社長は、俺の話を一瞬で理解したようだ。
「蒼海君、ありがとう。後は、俺に任せろ」
何やら自信有り気に笑みを見せた。
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