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第十七章 決断

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「俺は聖苑と結婚するにあたり、婿入りするつもりだ」

食後のコーヒーが配膳されて、落ち着いて話せる時間に切り出した。

「勘違いをして欲しくないのは、婿養子とは違う。
独立した新しい戸籍で一ノ瀬の姓を名乗ることになる。
伊王の名は、弟の拓海に継いでもらいたい」

黙って聞いていた父親が切り出す。
 
「親として、蒼海の決断は尊重するよ。
うちは伊王の家でも傍流だし、拓海も自由にしていいから、蒼海は気にする必要は無い。
ただ私達が心配しているのは、一ノ瀬家との釣り合いだ。
一ノ瀬グループは私達が外から見る限り、巨大な組織だろう。
その家の長女と結婚する結果が、私達には見えて来ない。
取り越し苦労とは思うが、蒼海が後継者争いや権力闘争に巻き込まれるのを心配している」

俺は一ノ瀬の家をよく知っているので不安は無いが、両親が心配するのも理解できる。

「不安な点は明日、両家の顔合わせでうちの両親に聞いてみて下さい。
納得出来るまでお話をされるといいと思います。
ただ私は一ノ瀬の家と蒼海さんのどちらかを選択する必要になれば、蒼海さんを選びます」

同席していた聖苑が思い切った話をした。

「聖苑さん、ありがとう。
貴方の言葉だけで、安心して明日に臨めるわ」
母がほっとした表情で、聖苑に答えた。

「我が家も蒼海さんを強奪するわけじゃありません。
二人の幸せの為に話し合う訳ですから、お互いが納得することが大事だと思ってます」

「私も安心しました。
明日は二人の幸せを一番に考えて、対面に臨もうと思います」
父が話を締めて伊王家の意志は決まった。

俺がプロポーズをした時に、聖苑はここからが戦争だと言っていた。
あれから色々と考えているんだろう、俺は自分が楽観過ぎたと感じる。
明日は、みんなで一ノ瀬の家に行く。
両親と沙織をホテルに残して、俺たちは自分たちの家に帰った。

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