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第十六章 転身

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「solemnityの暴君」
「娘婿の立場を利用して、やりたい放題」
「solemnity/フィーデスが出店してやるんだ、一等地を寄こせ」

写真週刊誌にあること、無い事、思い切り書かれた。
思い当たることはいくつかあるが、悪意を持って書けばこれほど悪く書けるらしい。

「蒼海も週刊誌から狙われるほど、有名人だと言うことだよ」
聖苑が慰めてくれるが、腹立たしい。

「父だってsolemnityやフィーデスを買った時、飢えたハイエナとか書かれたんだから。
悪口言われるようになって、一流なんだ」

それにしても、イライラする。
まだ結婚もしてないのに、娘婿とは何だ。
俺は、実験店舗はショッピングモールの片隅でいいと言ったんだ。
一等地なんて困るって言ったんだぞ。

「多分、ライバルのショッピングモールが噂を流したんだと思うよ。
それだけ、solemnity/フィーデスの出店が脅威だと思われている」
ガーデンズオフィスの田中社長は、冷静だ。
スキャンダル対策は慣れていた。

「言い訳をするな、返って反発される。
記事を逆に利用しろ、一等地を要求して当然くらい言っておけ」
流石のアドバイスだった。

……

クリスマス・イヴは、毎年恒例になってるシーホークさんのラジオ特番に出る。
俺が真凛を引退して、これが最後の生放送だが一緒に妹の沙織が出ることになった。

シーホークさんには、本当にお世話になった。
番組内の話から写真集を出したり、会社訪問のTV出演に結びついている。
出雲真凛としてそれなりの人気者になったのも、ラジオのお陰が大きい。
最後に感謝の気持ちとして、沙織との初共演をプレゼントすることを提案してみた。
ラジオのプロデューサー、fortutaのマネージメント会社と、田中社長が走り回って交渉がまとまった。

「本当に沙織ちゃんと一緒に出てくれるんか?
こっちとしては大歓迎やけど、無理せんかったか?」
鷹山さんが心配して、わざわざ連絡をくれた。

「沙織も出たいって、言ってます。
私も最後に喜んで貰えたら、嬉しいです」

直ぐに金曜日の放送で、クリスマス・イヴに沙織と月奈、伊王蒼海が共演すると発表された。
net上では、真凛と沙織の共演が見たいって声が多い。

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