上 下
229 / 322
第十三章 変革

14

しおりを挟む
日曜日の午前中、家で聖苑と一緒に番組を見る。
今日が、銀行に訪問した時の放送だった。

「真凛ちゃん、制服が似合ってる。今までで一番だね」

「一番、仕立てが良かった」

「本店の受付嬢に勝ってる」

「自分で言うのも恥ずかしいけど、TOPモデルですから」

社員食堂で囲まれてるところは無く、佐藤頭取と会ってるシーンはナレーションだった。
会話の内容は、放送されてない。

「笑顔だけど、何話してるの?」

「一ノ瀬社長が可愛がるのも判るって、言われた」

「父の知り合い?」

「大学の先輩って言ってた」

「10歳以上、上だよね。どういう先輩だろ?」

「多分、連絡してくれたんじゃないかな。
そうじゃなきゃ、会ってくれる人じゃないみたいだ」

「父に会いに行く?」

「是非、お礼を言いたいよ」

すぐに聖苑が、連絡をしていた。
「家に夕食を食べに来いって言ってる」

「行こう」
直ぐに着替えて、新幹線で向かった。

駅には、運転手とガードマンが待っていた。
車で、自宅に送ってくれる。

「早かったわね。お父様がお待ちですよ」
奥様がお迎えしてくれた。
リビングに行くと、一ノ瀬社長が待っていた。

「放送が終わって、友人達からお前が手を回したんだろうと言ってきてる」

「佐藤頭取に、社長が可愛がるのも判るって言われました」

「あの人は、帝都大学漕艇部の15年先輩なんだ」

「15年先輩でも、交流有るの?」
聖苑が驚いてる。

「OB会で何度も会ってる。俺の仕事ぶりを叱ってくれる大事な人だ」

「お父様にも、怖い人がいるのね」

「いなくなったら、終わりだよ」

「頭取と握手したんですが、力強くて優しい人でした」

「上に厳しく、下に優しい。素晴らしい人だよ」
社長が言う通りの人だった。

「こんな機会を作って頂き、ありがとうございます」
一ノ瀬社長にお礼が言えてよかった。

聖苑の家族に混じって、夕食を共にする。
メニューは、すき焼きだった。
同じ鍋の料理を頂くと、付き合いが一段深くなった気がした。

「みんなが揃って食事をすると、美味いな」
社長が言うと、みんながうなずいた。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

感じやすいぼくの話

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:873

君が望むなら、俺が全部叶えてみせる

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:26

気づいたら記憶喪失だった

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:19

【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:434pt お気に入り:92

みなしご白虎が獣人異世界でしあわせになるまで

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:435

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:975

処理中です...