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第十二章 新機軸

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卒業公演はセンターに植木遥を置いて、スタートした。
選抜、アンダー、研究生と順に披露していくが、センターは遥のままだ。
真ん中でもリミッターを外してるのだろう、ダイナミックで派手なダンスだった。

4曲目で2期生だけになり、しんみりとなった。
そのまま繋ぎの昔話MCになって、植木遥は着替えに入る。
ユニット始めは、デビュー曲のカップリングで初めてCDに自分の歌が入った曲だった。
当時アンダーだった、1期生や2期生が歌っていた。
4曲目に沙織が出て来て、二人でダンス曲を歌った。
見るのは3回目だが、スピード、ダンスの表現力が遥のLEVELに追いついていた。

「沙織、振りが流れなくなった」

「ずっと追いかけてると、上手くなってるのが判るね」

3期の後輩がMCで繋いで、着替えた植木遥が出てきた。
彼女が作ったダンスが上手いメンバーの5人組ユニットに、沙織が追加されている。
3曲続けて、ハードなダンスナンバーが続いた。
2期や3期のメンバーに混じって、沙織が踊っている。
初めから6人目のメンバーがいたように、他のメンバーに負けないダンスを披露した。

曲が終わって、MCに入る。
ゼーゼーいう呼吸音を、マイクが拾っていた。

「皆さん、今日は私の卒業公演に来場頂き、ありがとうございます。
中学3年生でfortunaに参加して、選抜まで5年もかかりました。
その間、ずっと支えてくれたファンの皆さんには、感謝してもしきれないほどの勇気を頂きました。
私が辞めても、fortunaに今まで通りの愛を注いで頂けるようにお願いします」

遥が沙織をステージの中央に、引っ張ってきた。

「このユニットに沙織を入れるか迷ったのですが、2カ月で他のメンバーと変わらないようになるまで上達しました。
こんなに練習出来るのも、才能です。
普通の子もちゃんと踊れるようになる、そういう指導者を目指します。
必ず戻ってくるので、しばらく勉強させて下さい」

沙織は号泣して、立てない様子だ。
先輩メンバーに両側から、支えられていた。

その後は、選抜メンバーでシングル曲が披露された。
アンコール後は、沙織も元気に研究生と一緒に踊っていた。

グループの底辺から、レッスン一筋で選抜まで駆け上がったメンバーが卒業した。

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