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第十一章 激震

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日曜日の午後5時、熱狂のfortunaツアーファイナルが始まった。

札幌から順番にツアーの光景が、モニターに流れている。
時々、地元メンバーのUPがあり、スタジアムを沸かせた。
overtureが流れて、ライブがスタートする。

ライブも中盤に差し掛かり、ユニットコーナー最後に古田美那、植木遥、月城美雪、出雲沙織がセンターステージに出てきた。
4人ユニットのダンス曲だ。
レゲエ風のセクシーな振り付けを、4人が歌い踊っている。
間奏では各自に見せ場があり、沙織はダブルキックを決めた。
美雪はフィギュアの選手のように手を上に上げて、きれいなピルエットを見せた。
先輩二人も得意な技を決めて、スタジアムを興奮させた。
終った後、植木遥が語りだす。

「去年やっとの思いで、選抜メンバーに入れました。
ところが、ここからが茨の道です。
何をやっても空回りして、もがいていました。
そこに、出雲真凛ちゃんが現れます。
fortunaTVで、私より上位で視聴者に選ばれました。
泣き崩れる私に、動かない写真だから上位になっただけ。
笑顔やダンスパフォーマンスを使えないメンバーには気の毒だったと、コメントしました。
これがヒントになりました。
原点に帰りパフォーマンスを磨こう、笑顔で踊ろう。
これで生き返ることが出来ました」

「今年になって真凛ちゃんの妹、沙織が入ってきました。
全然踊れないくせに、弟子にしてくれって言います。
断りましたが、諦めません。
レッスン場に住んでいるってファンに言われていた私より早く来て、掃除をして待っています。
帰りも最後まで残って、戸締まりをしています。
それが春休み中、続きました。
根負けして少しずつ教えると、みるみる上達します。
あっという間に、人並みに踊れるようになりました。
人に教えるって、こんなに楽しい。
イライラすることもあるけれど、沙織の上達が心の底から嬉しかった」

「ずっと考えていた、卒業後の夢がはっきりしました。
それはグループの指導者になること。
メンバーを経験した自分だから出来る、アドバイスや指導をしたい」

「そのために、海外の学校に行くことに決めました。
急な発表で驚かせたけど、ファンの皆さんには判って欲しいです」

心のこもったスピーチだった。

沙織は立っていられず、美雪に支えられていた。

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