上 下
181 / 322
第十一章 激震

しおりを挟む
土曜日の午後、羽田に両親と姉、弟を迎えに行った。
山内女史の運転で、滞在するホテルに向かう。

「沙織が東京に行ってから、上京する機会が増えた。その分、蒼海に会える」
母は嬉しそうだった。
考えたら、実家を出てもう2年半も帰ってない。

ホテルに荷物を預けて、会場に向かう。
関係者入り口から中に入り、楽屋裏の関係者控え室で待ってもらった。

俺は、聖苑の差し入れを見に行った。
キッチンカーをレンタルして、フルーツパーラーが鹿児島名物の白くまを出していた。
白くまとは、フルーツがどっさり入ったかき氷だ。
リハーサルが終ったメンバーが列を作って、出来立てを食べていた。

「みんな、聖苑社長の差し入れが大好きだよ」
春木プロデューサーが話しかけてきた。

「一ノ瀬流通グループ社内で、売り込みが凄いようですよ」俺が答えた。

「全社を、活性化させている。一ノ瀬社長もご満悦だろう」
春木プロデューサーは、ビジネスにも精通している。
最近は、話していて楽しい。

「2日間、楽しんでくれ」

「ありがとうございます、両親も喜びます」

控え室に戻ると、沙織が両親と会っていた。

「初めて楽屋に来てくれた」

「今まで沙織が緊張すると思って、ためらってた」

「大丈夫。考えなくても身体が動くくらい、レッスンしたから」

家族は関係者席に、案内されていった。
俺は聖苑のところに行った。
差し入れもほぼ終わり、片付けが始まっていた。

「好評で良かったね」

「フルーツが全部、無くなった」

メイクを終わった月奈が出てきた。

「白くま、美味しかったです」

「メイクはどう?」

「スタジアムはステージが遠いので、コントラスト強めです。
汗で流れないように、対策しました」

「最後まで頑張ってね」
声を掛けて、関係者席に向かった。

「真凛さん、こんにちは」
加藤みさきが、cloud nineのメンバーと一緒に来ていた。

「沙織ちゃんを見に来ました」

「千鶴や寧々ちゃんのほうが、いいんじゃないの」

「沙織はライバルですから」

「沙織は研究生だよ、みさきちゃんとはレベルが違うでしょ」

「それが本当かどうか、見極めに来たんです。
卒業する植木遥さんから、特訓されてるって噂もあるから」

彼女のライバル宣言は、本気だった。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

結婚しましたが、妹に悩まされています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:426pt お気に入り:219

セックスの価値

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:104

【※R-18】イケメンとBL♡したいだけ

BL / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:198

気になるなぁ日記3

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:235pt お気に入り:0

ニューハーフ極道ZERO

BL / 連載中 24h.ポイント:711pt お気に入り:31

竜頭

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:17

入れ替わられた女

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:0

[R18] 異世界は突然に……

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:220pt お気に入り:2,453

妹がいなくなった

恋愛 / 完結 24h.ポイント:646pt お気に入り:2,117

処理中です...