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第十章 成長

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ユニット明けMCに、九州出身のメンバーが呼ばれる。
一人ずつ感想を話していく。

「遥先輩が、付きっきりで教えてくれました。
とことん練習したので、ステージでは楽しく踊れました」
沙織は自信溢れるコメントだった。

「堂々としてる」親父が珍しく口を開いた。

「帰ってきたら何も出来ないほど、練習してるから」

「蒼海が一緒に居てくれるから、安心してる」母が俺に向かって言った。

後半は、12人チームが交代で楽曲を披露していく。
連続で12曲披露した後、全員で1曲披露して終了した。

アンコールの声が響き、ペンライトの波が揺れる。

アンコール明けは、シングルメドレーだ。
16人が交代しながら、ひたすら歌い続ける。
周りはどんどん交代出来るが、千鶴や寧々は出突っ張りだ。
途中、九州出身のメンバーにセンターを譲ってやっと捌けていた。
最後に全員で歌って、コンサートは終了した。

2日目、今日も家族と聖苑で関係者席にいた。

1日目と同じようにスタートしたが、ユニットは全ての楽曲が前日と違っていた。
沙織は4人ユニットのセンターで、他3人はほぼバックダンサー扱いだ。
間奏になって、バックダンサーにも見せ場がやってくる。
中でも最後に踊ったメンバーが、圧巻だった。
10秒に賭ける、それを体現したのは植木遥だった。

「あの人、上手いね」姉でも判るようだ。

「沙織の師匠だ。
選抜メンバーが研究生のバックダンサーで出るだけでも異例なんだ」
その後は、曲を昨日と替えて披露していく。
最後は全員で歌って終了した。

「沙織、結構出てたね」母と姉が話している。
アンコールが始まって、ペンライトの波が揺れる。
シングルメドレーが続く。
沙織は選抜メンバーに混じっても、ちゃんと踊れていた。
最後は、全員が並んで挨拶をして終わった。
家族全員で楽屋裏で待っていると、沙織が出てきた。
真っ直ぐ母に駆け寄り、抱きついた。

「どうだった?」

「とっても良かった」母はまた泣いていた。

「沙織があんなに踊れるって、ビックリしたよ」
姉が興奮して話していた。
植木遙が出てきて、沙織が家族に紹介した。

「私の師匠の植木遥さん。
私が踊れるようになったのは、遥先輩のおかげなの」

「ありがとうございます」両親が頭を下げた。

「私も真凛ちゃんにお世話になったし、お互い様です」

後でホテルに沙織が来て、家族みんなで食事をした。
スタジアムコンサートで再会を約束して、家族は帰っていった。
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