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第十章 成長

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fortunaのコンサートを何度か見て、研究生公演では衣装に関わっていた。
レッスンを見る機会も多かったので、だんだん判ってくる。

派手に踊っている子が、上手な訳ではない。
手抜きと言われている子が、実は正確で無駄がないダンスをしていたりする。
振り付けをひとつひとつ丁寧に踊る子もいれば、振り付けが流れている子もいる。
ただ下手でも目を引く子もいれば、上手くても消えている子もいる。
俺には沙織が正確で無駄がないダンスをしているように見えているが、ファンにはどう見えているんだろう?
全30曲を歌い、踊って、アンダーライブ初日は終わった。
沙織はユニットや16人落ちの曲もあり、20曲ぐらい出ていた。

沙織が家に帰ってきて、風呂に入る。
あがって、夕食を食べながら話し始めた。

「今日、全然ダメだった。
ステージの広さやファンの多さに圧倒されちゃった」

「自分たちが主役の初めてのコンサートだ。今日より明日、良くなればいい」
そう言って、休ませた。

2日目、楽屋裏では植木遥や古田美那が様子を見に来ていた。

「真凛ちゃん、こんにちは」

「久しぶり遥ちゃん、妹がお世話になってます。
昨日は、全然ダメだったって言ってました」

「舞台監督やプロデューサーは、良かったって言ってる。
沙織はもっと出来るはずだと思ってるから、ダメだったって言ってるだけ。
生意気でしょう」

「もっと派手に踊るかと思ってた」
 
「沙織はセンターで踊る器なの、正確で綺麗に踊れればいい。
私みたいに、成り上がらなくてもいいの」

いい先輩に恵まれている、沙織は運がいい。

「美雪、すごく良くなってる」美那に聞いた。

「沙織と違う事をさせてる、違えば違うほどお互いに映える」

「美那ちゃんがついてくれて、目立つようになってる」

「美雪は、センスがいいの。バレエをやってたから体幹もしっかりしてる」

「二人一緒に競い合えば、伸びるよね。私達みたいに」
遥が、笑っていた。

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