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第八章 研究生

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新年4日の仕事始めは、一ノ瀬流通グループの名刺交換会だ。

グループの関連会社、全ての責任者達が集まっている。
一般社員だけではなく、家族も参加出来るので今年も大賑わいだ。
去年はホテルだったが、今年は市の総合体育館になっていた。

控室で、聖苑と並んで、月奈にメイクをしてもらう。
「solemnityの専属モデルとして、完璧な出来上がりになった。
本物を見たことが無い人ばかりだから、ビックリするよ」

スタッフが呼びに来て、開会が近い。
廊下を歩いていくと、観客が並んでいた。

「出雲真凛ちゃんがいる」
「可愛い!!」「スタイルがいい」
「ビックリするほど細い」
若い子たちが、騒いでいた。

ステージに上がって、ひな壇の端に聖苑と並んで座った。
司会者が登場して、開会の議を宣言した。
続けて壇上のメンバー紹介が始まる。最初に当てられたので、立ち上がって一礼した。
予想外の拍手と大歓声で、ちょっと驚いた。

次に、一ノ瀬聖苑が紹介された。
例の差し入れの件が社内中にとどろいており、俺と変わらない歓声だった。
続く役員の皆さんは気の毒なくらい静かになり、社長でまた盛り上がった。
一ノ瀬社長の挨拶が終わると、名刺の交換会という歓談が始まる。

ステージから降りると、ガードマンがいてよかった思うほど並ばれた。
撮影のスタッフがついて、ひたすら2ショット撮影が続いた。
去年は役員の娘たちだったが、今年は結構な偉いと思われる人がいた。

「真凛ちゃんと写真撮って、会社に飾るんだ」

「一ノ瀬社長も社長室に飾ってる」

言われると恥ずかしいより、ちょっと怖くなる。
聖苑も関連会社の社長や役員から囲まれて、ずっと撮影していた。
やっと終わって、控室に戻った。

「あんなに喜ばれたら、スキャンダルとか出せないね」

「今や、一ノ瀬グループのスターだから」
聖苑が俺を持ち上げる。

「聖苑も、後継者現るって感じだった」
俺も聖苑を煽ってみる。

「去年まで、わがまま娘の会社って言われてたのに」

最後に、今日お手伝いをしてくれたスタッフの社員と撮影会をした。

「真凛ちゃんが仲間だなんて、一ノ瀬グループに入ってよかった」
「みんな一ノ瀬グループのアイドルだって思ってます」
「今日のツーショット、待ち受けにして友達に自慢します」

そう言われると、気が引き締まった。

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