蒼い海 ～女装男子の冒険～

第七章 紆余曲折

７

「fortunaTVの企画書が、送られてきた」
田中氏が持って来た。

「真凛の料理を評価する内容だ、スタジオで料理を作ってみんなに食べさせる。
直接食べさせると、食中毒のリスクがある。
真凛が作る通りに、専門家が作る。
それをメンバーが食べて、評価するって事だな」

「こっちはそれでいいけど、面白い？」

「真凛がシーホークのラジオで話してるので、話題になってる」

「聖苑、何を作ったらいい？」

「サツマイモの豚汁、あれが一番好き」

「一品じゃ向こうも困るだろ」

「じゃあ、トマト入りのオムレツ」

話はトントン拍子に進んで、収録当日を迎えた。
solemnityが用意してくれる、いつもの黒いワンピースに真っ白なロリータメイドエプロンを着る。
キッチンスタジオに入って、収録が始まった。

レポーターで栗栖千鶴がいた。
家から持参した包丁を使って、下準備に入る。

大根、こんにゃくを切って、軽く下茹でする。
ついでに油揚げを油抜きしておく。
さつまいも、人参、ささがきごぼうは水にさらす。
生姜を千切りして、豚肉は小さめに切っておろし生姜とお酒に漬けた。

別に、ミニトマト、ほうれん草、ベーコン、玉ねぎを切っておいた。

これで、下ごしらえが終わった。

「今日の衣装が、とっても可愛いの」
千鶴がレポートしている。
下ごしらえが終わると、こっちににマイクを向けた。

「ここまでしたら、もう八割方終わりました。
後は、仕上げるだけです」俺は答えた。

料理が出来上がって、みんなのいるスタジオに入った。
料理評論家、調理師、水無瀬結、来栖千鶴が並んでいる。
他のメンバーは、ひな壇にテーブルがセットされていた。

私が作った通りに調理師が作った料理が、全員に配膳される。

「真凛ちゃん、今日の料理の説明をお願いします」
司会者が話を振った。

「今日の料理は、サツマイモの豚汁とフリッタータです。
豚汁は、１００％母親のレシピですね。
フリッタータはイタリアのオムレツで、これも母のレシピがベースになっています。
豚汁の薬味に地元では柚子胡椒を使うので、お好みで使ってください」

「では、みなさんどうぞ」

「「いただきま～す」」
皆んなが食べ始めた。

俺は、ちょっと緊張する。