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第七章 紆余曲折

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東京支社に、一ノ瀬社長がやってきた。
事前に夕食を一緒にと連絡があったので、solemnityに言ってドレスを用意してもらった。
聖苑と二人、ドレス姿でお会いする。

「待たせたな。会議が、少し長引いた」

「大丈夫です。お父様」

「寿司でも食おう、もう予約してある」
高級ホテルの個室に招かれて、お寿司を頂く。
一ノ瀬社長、東京支社長、聖苑と俺だった。

「回らないお寿司、初めて」
個室で職人が握ってくれる席には、馴染まない本音が出てしまった。

「社長、寿司ぐらい食べさせてやれ」
聖苑が、からかわれる。
その場の雰囲気が、一気に和やかになった。
お寿司は本当に美味しく、冷たい日本酒が更に引き立てていた。

「時間はまだ早い。銀座に繰り出そう」
ハイヤー2台に分乗して、銀座に到着した。

「ママ、出雲真凛ちゃんを連れてきたぞ」
一ノ瀬社長が、俺を紹介する。

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました、一ノ瀬様」
ママと呼ばれる、和服の美人が出迎えてくれた。

「こんな美人を二人も連れて来られたら、困ってしまいます」

「今日は出雲真凛ちゃんのお祝いだ。彼女のおかげで、一ノ瀬流通グループが有名になった」

「そうなの?」聖苑が秘書に聞いてる。

「企業HPの閲覧数が、先月比で5倍以上になってます」
支社長が答えた。
すぐにシャンパンが用意されて、乾杯した。

「Orientの記事には、驚かされた」

「読みましたわ。
春木プロデューサーにあそこまで言わせる本人が、こんなに可愛い人だなんて信じられません」

「ママ、知ってるのか?」

「ええ、何度かお見えになった事があります。
裏表の無い方ですから、記事は本音だと思います」

「引き抜きしようとしたら、一ノ瀬グループ所属だったから諦めたって言ってました」
俺が話す。

「よほど、好かれてるのね」聖苑が言った。

「私のどこがいいんだろ?」

「こんな魅力的な方は、なかなかいませんわ。
ご活躍を拝見してますけども、大人を刺激する力を持ってらっしゃる」

「刺激する力?」意味が解らなかった。

「真凛さんと仕事をすると、何か新しい事が起きる。
起こしてるのは本人なんだけど、真凛さんの発想や言葉、イメージに刺激を受けている」

「確かにそうだな。
聖苑にビジネスを教えたかったが、真凛と一緒なら成功するって判ってた」
一ノ瀬社長が言った。

みんな俺を過大評価している。
たまたま、いい人達に恵まれて結果が出ただけだ。

「周りに恵まれて、運が良かっただけです」

「いい運をお持ちなのも、才能です」
ママが言った。

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