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第五章 大忙し

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solemnityのECサイト向けの撮影が行われた。

数名のモデルと、秋冬の衣装を着て撮影が始まる。
梅雨の晴れ間なので、湿気がまとわりついて暑い。
髪がベタつくので、月奈がドライヤーで乾かしてくれる。

室内はエアコンが最強レベルで冷やしてくれるけど、外は日差しが強い。
スタッフがタープを張って、その下で撮影した。

「スリップの下で汗が流れてる」
着替えの際に、上半身裸でタオルを使った。

「セクシー過ぎる」月奈が文句を言う。

「普段も着替えの時、見てるじゃん」

「ドレスから脱ぐと違うの」

外の撮影が終わって、休憩時間になった。
モデルのみんなや撮影スタッフと一緒に、お弁当を食べる。

「真凛ちゃん、もうfortunaと仕事しないんですか?」
若いスタッフが聞いてきた。

「したくない訳じゃないの、ファンが怖いだけ」

「一部の過激な奴らだけですよ。
SNSのファン投票で、夏のツアーファイナルに出て欲しいゲスト1位になってます」

「誰が?」

「真凛ちゃんに決まってるでしょ。メンバーも一緒にやりたがってる」

「どうして?」

「真凛ちゃんと組むと売れるからです。
千鶴が1位で結が2位、今は寧々が5位で、遥が8位、そりゃ他のメンバーからすれば羨ましい」

「その分、他のメンバーのファンからヘイトを集めちゃうんだよね」

「売れるって、大変だ」新人モデルが言う。

「売れた分だけ、勝手に恨まれる」先輩づらして俺が言った。

……

「fortuna夏のスタジアムライブに、ゲストで出てくれって来てるぞ」
田中氏が言った。

「出たくない」

「向こうだってバカじゃない。
イグナイトドラゴンとコンタクトレンズのタイアップをつけてる。
スポンサー案件だ」

「ワザと断われないようにしてる?」

「まあ大規模イベントは儲からないから、スポンサーは大事なんだ」

「あれだけ集まっても?」

「その分セットも大掛かりだし、警備やスタッフの人数もいる。
お前を呼びたいのも、スポンサーへの気遣いだ」

「仕事だからやるけど」

「企画書が来てから、条件闘争すればいい。
ちゃんとギャラも出るから、頑張ってくれ」

fortunaツアーファイナル/首都湾岸スタジアムに出演が決まった。

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