32 / 322
第二章 転機
12
しおりを挟む
「オーディションは100に3つだから」
田中マネージャーがオーディションを前に語る。
「どういうこと?」
「そのままだよ。一流モデルでも落ちまくる。
だから下手な鉄砲でも、数打つしか無いんだ」
アメリカFreak社の新カジュアルライン、 BiginningのCMモデルオーディションが再スタートする。
「俺たちは、会場まで連れていくことは出来る。
そこから先は、真凛自身が何とかするしか無いんだ」
田中氏が色々と手を回して探っても、今回のオーディションの中身が見えてこない。
従来の日本のやり方とは、違っている。
「これはチャンスだと思う。
ネームバリューより、個性を重視している可能性に賭けよう」
……
1次の書類選考を突破して、2次のオーディションに参加が決まった。
医療脱毛をされて、美容歯科でホワイトニングまでされた。
「今出来る事は、全部やった。
後は真凛次第だ、初めてなんだから気楽にやってこい」
あれだけ煽っておいて、気楽に何か出来るかよ。
そう思うが、これも田中氏らしい配慮なんだろう。
指定されたスタジオには、書類審査を通過した20人くらいがいた。
「メイクを落として、これを着てください」
黒いレオタードを渡された。
ヤバい、男だとバレる。
ここで開き直る。
俺は男なんだ、それしか武器が無い。
ここに居る全員が、俺よりデカイし本物の女だ。
もう普通じゃない何かに賭けた。
4人グループで一通りポージングした後、質疑応答が始まった。
司会者以外全員が外国人で、英語でガンガン聞いてくる。
必死で単語を繋いで、自分の気持ちを伝える。
もちろんジェスチャー付きで、しどろもどろだった。
流暢な英語でやり取り出来るものもいれば、全く喋れない者もいた。
午後の3次審査には、4人になっていた。
「ここまで来るとは、正直思ってなかった」
今頃になって、田中氏が言った。
「英語onlyなんて聞いてない」
「そうじゃないかとは思ったけど、通訳無しは想定外だ」
3次審査は、向こうが連れてきたメイクアップアーチストにフルメイクされる。
それに新作のブラウスとパンツで、シンプルな格好にスタイリングされた。
二人づつ、審査が始まった。
俺から先行で、ウォーキングからポーズをとる。
また英語で質問攻めされる。
判る単語を繋いで、必死に答えた。
次のモデルが歩き始めた、もう瞬間に負けを覚悟した。
レベルが違い過ぎる、質問の受け答えも完璧だ。
あまりのレベルの差に、悔しくもならない。
……
「明日に残ったぞ」
田中氏が興奮気味に叫んだ。
田中マネージャーがオーディションを前に語る。
「どういうこと?」
「そのままだよ。一流モデルでも落ちまくる。
だから下手な鉄砲でも、数打つしか無いんだ」
アメリカFreak社の新カジュアルライン、 BiginningのCMモデルオーディションが再スタートする。
「俺たちは、会場まで連れていくことは出来る。
そこから先は、真凛自身が何とかするしか無いんだ」
田中氏が色々と手を回して探っても、今回のオーディションの中身が見えてこない。
従来の日本のやり方とは、違っている。
「これはチャンスだと思う。
ネームバリューより、個性を重視している可能性に賭けよう」
……
1次の書類選考を突破して、2次のオーディションに参加が決まった。
医療脱毛をされて、美容歯科でホワイトニングまでされた。
「今出来る事は、全部やった。
後は真凛次第だ、初めてなんだから気楽にやってこい」
あれだけ煽っておいて、気楽に何か出来るかよ。
そう思うが、これも田中氏らしい配慮なんだろう。
指定されたスタジオには、書類審査を通過した20人くらいがいた。
「メイクを落として、これを着てください」
黒いレオタードを渡された。
ヤバい、男だとバレる。
ここで開き直る。
俺は男なんだ、それしか武器が無い。
ここに居る全員が、俺よりデカイし本物の女だ。
もう普通じゃない何かに賭けた。
4人グループで一通りポージングした後、質疑応答が始まった。
司会者以外全員が外国人で、英語でガンガン聞いてくる。
必死で単語を繋いで、自分の気持ちを伝える。
もちろんジェスチャー付きで、しどろもどろだった。
流暢な英語でやり取り出来るものもいれば、全く喋れない者もいた。
午後の3次審査には、4人になっていた。
「ここまで来るとは、正直思ってなかった」
今頃になって、田中氏が言った。
「英語onlyなんて聞いてない」
「そうじゃないかとは思ったけど、通訳無しは想定外だ」
3次審査は、向こうが連れてきたメイクアップアーチストにフルメイクされる。
それに新作のブラウスとパンツで、シンプルな格好にスタイリングされた。
二人づつ、審査が始まった。
俺から先行で、ウォーキングからポーズをとる。
また英語で質問攻めされる。
判る単語を繋いで、必死に答えた。
次のモデルが歩き始めた、もう瞬間に負けを覚悟した。
レベルが違い過ぎる、質問の受け答えも完璧だ。
あまりのレベルの差に、悔しくもならない。
……
「明日に残ったぞ」
田中氏が興奮気味に叫んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
40
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる