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ミテコになった日
接客内容
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なんだかんだでスムーズに120分のタイマーをスタートさせた。この店は漫画喫茶のような天井は吹き抜けになっているタイプの半個室だった。少し耳をすませば隣の部屋で楽しそうに喋る声も聞こえる。とりあえず客の上に跨って座って「今日はいい天気ですね」「お仕事終わりですか?」なんていう鉄板の会話を投げかけてみる。だが、返答はない。おかしいなと思い客から離れてみようとするが、私を抱く力は緩まない。店内には無名アイドルのポップなリズムの音楽が大音量で流してあったが、無言はなんとなく気まずいので適当に昨日食べたものやその周辺のお店などの話をしていた。すると、その客は段々と下半身を私に押し付けてきた。なるほど、粘膜同士の接触と抜きは無しだと聞いていたがそういう事か。妙に納得した私は抵抗も許容もせずにひたすら与太話を続けていた。お構い無しに腰を振り始める客。なんだか永遠と喋り続けるおしゃべりロボットの気持ちが分かったような気がする。そうこうしているうちに10分ほどでその客は果てた。その時の私は「え、そのまま帰るの?凄いな…」という以外の感情を抱かなかったと思う。そのあとすぐにその客は寝てしまい、そのまま時間終了のタイマーが鳴った。すぐさまタイマーを手に取り、「今日はありがとう♪」なんて思ってもないセリフと共にハグをする。習ってもないのにこんなことが出来てしまう自分に驚いた。店のドアの前で客に手を振って見送る。まあこれで接客は終了という訳だった。私の頭の中は「下着大変そうだな…」と言うことだけで一杯だった。まあ近くの公衆トイレが何かで拭き取るのだろうが。
そんなことを考えていたらスカウトのリボンがニヤニヤしながらこちらを見ていた。「アヤちゃん絶対ピンサロで働いてたでしょ~」なんて冗談をふっかけてくる。その姿になんだか一抹の怒りを覚えたのでリボンの背中を思いっきり叩いた。どうやらリボンにはM気質があったらしく「え!アヤちゃんそっち系?!まこれから時間ある?ご飯行かない??」なんてことを血眼になって言って来たのが非常に腹立たしかった。その後その店には1年ほど居たが、リボンとは二度と会っていないし、初めて会った時に褒められた(褒めていたのかは疑わしいが)グレーのコートは家に帰ってからすぐに捨てた。そのあとはアヤという名前を思い浮かべて少し嬉しいような気持ちに浸っていた。これがアヤの始まりの日であった。
そんなことを考えていたらスカウトのリボンがニヤニヤしながらこちらを見ていた。「アヤちゃん絶対ピンサロで働いてたでしょ~」なんて冗談をふっかけてくる。その姿になんだか一抹の怒りを覚えたのでリボンの背中を思いっきり叩いた。どうやらリボンにはM気質があったらしく「え!アヤちゃんそっち系?!まこれから時間ある?ご飯行かない??」なんてことを血眼になって言って来たのが非常に腹立たしかった。その後その店には1年ほど居たが、リボンとは二度と会っていないし、初めて会った時に褒められた(褒めていたのかは疑わしいが)グレーのコートは家に帰ってからすぐに捨てた。そのあとはアヤという名前を思い浮かべて少し嬉しいような気持ちに浸っていた。これがアヤの始まりの日であった。
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