上 下
4 / 26
ミテコになった日

接客内容

しおりを挟む
 なんだかんだでスムーズに120分のタイマーをスタートさせた。この店は漫画喫茶のような天井は吹き抜けになっているタイプの半個室だった。少し耳をすませば隣の部屋で楽しそうに喋る声も聞こえる。とりあえず客の上に跨って座って「今日はいい天気ですね」「お仕事終わりですか?」なんていう鉄板の会話を投げかけてみる。だが、返答はない。おかしいなと思い客から離れてみようとするが、私を抱く力は緩まない。店内には無名アイドルのポップなリズムの音楽が大音量で流してあったが、無言はなんとなく気まずいので適当に昨日食べたものやその周辺のお店などの話をしていた。すると、その客は段々と下半身を私に押し付けてきた。なるほど、粘膜同士の接触と抜きは無しだと聞いていたがそういう事か。妙に納得した私は抵抗も許容もせずにひたすら与太話を続けていた。お構い無しに腰を振り始める客。なんだか永遠と喋り続けるおしゃべりロボットの気持ちが分かったような気がする。そうこうしているうちに10分ほどでその客は果てた。その時の私は「え、そのまま帰るの?凄いな…」という以外の感情を抱かなかったと思う。そのあとすぐにその客は寝てしまい、そのまま時間終了のタイマーが鳴った。すぐさまタイマーを手に取り、「今日はありがとう♪」なんて思ってもないセリフと共にハグをする。習ってもないのにこんなことが出来てしまう自分に驚いた。店のドアの前で客に手を振って見送る。まあこれで接客は終了という訳だった。私の頭の中は「下着大変そうだな…」と言うことだけで一杯だった。まあ近くの公衆トイレが何かで拭き取るのだろうが。
  そんなことを考えていたらスカウトのリボンがニヤニヤしながらこちらを見ていた。「アヤちゃん絶対ピンサロで働いてたでしょ~」なんて冗談をふっかけてくる。その姿になんだか一抹の怒りを覚えたのでリボンの背中を思いっきり叩いた。どうやらリボンにはM気質があったらしく「え!アヤちゃんそっち系?!まこれから時間ある?ご飯行かない??」なんてことを血眼になって言って来たのが非常に腹立たしかった。その後その店には1年ほど居たが、リボンとは二度と会っていないし、初めて会った時に褒められた(褒めていたのかは疑わしいが)グレーのコートは家に帰ってからすぐに捨てた。そのあとはアヤという名前を思い浮かべて少し嬉しいような気持ちに浸っていた。これがアヤの始まりの日であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R 18】現役小学校教師と秘密のSEX

kira jun(仮)
エッセイ・ノンフィクション
先生だってオナニーするんだよ

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

あなたと私の壊れかけた世界

Euclase
エッセイ・ノンフィクション
壊れかけた世界が壊れるまでのお話

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

おむつオナニーやりかた

rtokpr
エッセイ・ノンフィクション
おむつオナニーのやりかたです

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

処理中です...