5 / 14
みんなだいすき、ざまあ文学。『12のつきのおくりもの』、『源氏物語』ほか
しおりを挟む
いきなりですが、トウモロコシが大好きです。
幸運なことに近くに産直野菜を扱う店があるので、収穫して半日以内の物が手に入り、初夏から秋にかけて幸せをかみしめます。
そんなある日、産直野菜コーナーで数本のトウモロコシを見つけました。
忘れもしない、クリスマスも終わった年の瀬だというのに、隣県産のトウモロコシ。
三度見くらいしたと思う。
しかも、旬のころとと変わらぬお値段。
迷わず一本掴んで帰りました。
幻では・・・と疑いましたが、電子レンジで火を通してみるとちゃんと美味しい・・・本物のトウモロコシでした。
真冬のトウモロコシは、雪原で苺を探すようなものだよな…ということで。
つられて連想したのは、スロバキア民話の絵本、『12のつきのおくりもの』です。
本棚を探してみたら、なんと初版本が出てきた・・・。
母が知人から譲って頂いたもののようです。
内田莉莎子さん訳、丸木俊さん挿絵。
福音館書店発行。
言葉も絵も、とても美しい絵本です。
あらすじとしては、継母と義姉と暮らす主人公は二人にいじめられこき使われながらも美しく成長し、それがまた気に入らない彼女らから、『帯に飾るすみれを取ってこい』と真冬のさなか森の中へ出され、途方に暮れて森をさまようと12人の男たちが囲む大きな焚火にたどり着く…。
あとは、昔話を知る人ならだれもが思う展開です。
その後、イチゴ、りんごと取りに行かされるものの、主人公は難なくそれらを持ち帰り、欲張りな義姉は主人公が簡単にできるなら、自分はもっとたくさん収穫できるはずと森へ出て、十二人の男たち(精霊)と焚火に出会うものの横柄な態度をとって命を落とし、継母もまた・・・というしめくくりで、これぞ典型的なざまあ文学だなと思った次第です。
おとぎ話は、悪者に鉄槌を下すのが鉄則。
善き人には幸せな結末を。
ちなみにこの物語で12人の男たちは春が若く季節を巡るうちに成熟し12月は最年長の老人となっておりまして、ヒロインは春の月の精霊に似た若い美男子と幸せになりました・・・とありますが、私としては秋冬の渋く美しい男が昔から好みだったのでそこがちょっと不満。
昔から、ガンダルフ推しだったので。
ところで、勝手に命名しているこの『ざまあ文学』というジャンルですが、私の中では因果応報的な展開の物語を指します。
昨年あたりからネット小説を読むようになり、そこで今更ながら知ったのは『ざまあ』というタグでした。
『ざまあ』タグ。
それは『ざまあ見ろ』から派生して、主人公を虐待する登場人物たちにきっちりカタをつけますよ、という意味のようです。・・・たぶん。
『ざまあ』タグを検索して読む人は報復展開を楽しみにアクセスするので、裁きが甘い作品の感想欄に『ざまあが足りない』とお叱りの言葉が書き込まれているのを見かけたことがあり、その当時そのサイト初心者の私は震えあがりました。
そのジャンルははいわゆるライトノベルで、読者も書き手も年齢層が広いからこその事例かなとは思いますが。
そんな『ざまあ』は、ある意味人間ならではの娯楽なのだと思います。
昭和のころに流行った時代劇は必ず最後の十分くらいにお裁きの場面があったし、サスペンス劇場なら断崖で犯人を追い詰める。
『十二月のおくりもの』はスロバキア民話ですが、『森は生きている』というよく似たロシア民話が存在し、継子いじめなら欧州は『シンデレラ』が鉄板で、日本は『落窪物語』。
子どもの紙芝居なら『かちかちやま』や『はなさかじいさん』など、主人公が幸せになるか否かは置いといて、とにかく因果が巡る。
『悪いことをするといつか報いを受けるのですよ』という教育的な目的で作られた物語もあるだろうけれど、そうであってほしいと願いも込められているのではないかと思うことがあります。
ちなみに、『源氏物語』は日本最古の長編スペクタクルざまあ文学だと私は思います。
多少不遇な生まれではあるものの、天皇の子という最高の血筋と両親の容姿のいいとこどりをした絶世の美青年光源氏が、なんだかんだと図にのって次々と女性たちをつまみ食いした挙句、その報いがじわりじわりと・・・本人の気付かぬうちにまるで毒のように効いてくる物語ではないかなと。
そもそも、あの人生の集大成の六条院(恐ろしく豪奢な大邸宅)は、怨霊として初期に出る六条御息所の遺領を元に彼女の娘の後見人になる名目で大改修し、女たちを住まわせ、ついでにその死の床で託された六条御息所の娘に食指がわいてちょっと手を出そうとしたりもし、そりゃあ呪われますがなと思う私は、つくづくアンチ光源氏。
ついでに言わせてもらうならば『源氏物語』にまともな男はほとんど存在しない。
右を見ても左を見ても屑ばかり・・・。
これは、屑の頂上決戦物語なのだろうか。
いわゆる白馬の王子様に憧れても、そんなものは都市伝説。
居並ぶ屑の中からましな男を掴めばなんとか生き残れると諭している・・・と考えるのはさすがに極論でしょうか。
なんにせよ、紫式部の筆力の凄さを年月を経れば減るほど痛感します。
ついでに告白すると、六条院建設の財源の多くと生活費はおそらく成金と見下している明石君(正確には明石入道の隠し財産)からだよね?というテーマで卒論を書いたのですが、当時の私は資料集めと検証が下手で詰めが甘く、時間切れとなって散々な出来でした。
いずれまたきちんと向き合って掘り下げたいところです・・・。
話がちょっとそれましたが。
常々やらかす考えなしな私としては、ざまあ的な応酬は物語の中だけであってほしいな・・・と、都合の良い事を願います。
今の私がポンコツなのは、何かの報いでないと思いたい。
幸運なことに近くに産直野菜を扱う店があるので、収穫して半日以内の物が手に入り、初夏から秋にかけて幸せをかみしめます。
そんなある日、産直野菜コーナーで数本のトウモロコシを見つけました。
忘れもしない、クリスマスも終わった年の瀬だというのに、隣県産のトウモロコシ。
三度見くらいしたと思う。
しかも、旬のころとと変わらぬお値段。
迷わず一本掴んで帰りました。
幻では・・・と疑いましたが、電子レンジで火を通してみるとちゃんと美味しい・・・本物のトウモロコシでした。
真冬のトウモロコシは、雪原で苺を探すようなものだよな…ということで。
つられて連想したのは、スロバキア民話の絵本、『12のつきのおくりもの』です。
本棚を探してみたら、なんと初版本が出てきた・・・。
母が知人から譲って頂いたもののようです。
内田莉莎子さん訳、丸木俊さん挿絵。
福音館書店発行。
言葉も絵も、とても美しい絵本です。
あらすじとしては、継母と義姉と暮らす主人公は二人にいじめられこき使われながらも美しく成長し、それがまた気に入らない彼女らから、『帯に飾るすみれを取ってこい』と真冬のさなか森の中へ出され、途方に暮れて森をさまようと12人の男たちが囲む大きな焚火にたどり着く…。
あとは、昔話を知る人ならだれもが思う展開です。
その後、イチゴ、りんごと取りに行かされるものの、主人公は難なくそれらを持ち帰り、欲張りな義姉は主人公が簡単にできるなら、自分はもっとたくさん収穫できるはずと森へ出て、十二人の男たち(精霊)と焚火に出会うものの横柄な態度をとって命を落とし、継母もまた・・・というしめくくりで、これぞ典型的なざまあ文学だなと思った次第です。
おとぎ話は、悪者に鉄槌を下すのが鉄則。
善き人には幸せな結末を。
ちなみにこの物語で12人の男たちは春が若く季節を巡るうちに成熟し12月は最年長の老人となっておりまして、ヒロインは春の月の精霊に似た若い美男子と幸せになりました・・・とありますが、私としては秋冬の渋く美しい男が昔から好みだったのでそこがちょっと不満。
昔から、ガンダルフ推しだったので。
ところで、勝手に命名しているこの『ざまあ文学』というジャンルですが、私の中では因果応報的な展開の物語を指します。
昨年あたりからネット小説を読むようになり、そこで今更ながら知ったのは『ざまあ』というタグでした。
『ざまあ』タグ。
それは『ざまあ見ろ』から派生して、主人公を虐待する登場人物たちにきっちりカタをつけますよ、という意味のようです。・・・たぶん。
『ざまあ』タグを検索して読む人は報復展開を楽しみにアクセスするので、裁きが甘い作品の感想欄に『ざまあが足りない』とお叱りの言葉が書き込まれているのを見かけたことがあり、その当時そのサイト初心者の私は震えあがりました。
そのジャンルははいわゆるライトノベルで、読者も書き手も年齢層が広いからこその事例かなとは思いますが。
そんな『ざまあ』は、ある意味人間ならではの娯楽なのだと思います。
昭和のころに流行った時代劇は必ず最後の十分くらいにお裁きの場面があったし、サスペンス劇場なら断崖で犯人を追い詰める。
『十二月のおくりもの』はスロバキア民話ですが、『森は生きている』というよく似たロシア民話が存在し、継子いじめなら欧州は『シンデレラ』が鉄板で、日本は『落窪物語』。
子どもの紙芝居なら『かちかちやま』や『はなさかじいさん』など、主人公が幸せになるか否かは置いといて、とにかく因果が巡る。
『悪いことをするといつか報いを受けるのですよ』という教育的な目的で作られた物語もあるだろうけれど、そうであってほしいと願いも込められているのではないかと思うことがあります。
ちなみに、『源氏物語』は日本最古の長編スペクタクルざまあ文学だと私は思います。
多少不遇な生まれではあるものの、天皇の子という最高の血筋と両親の容姿のいいとこどりをした絶世の美青年光源氏が、なんだかんだと図にのって次々と女性たちをつまみ食いした挙句、その報いがじわりじわりと・・・本人の気付かぬうちにまるで毒のように効いてくる物語ではないかなと。
そもそも、あの人生の集大成の六条院(恐ろしく豪奢な大邸宅)は、怨霊として初期に出る六条御息所の遺領を元に彼女の娘の後見人になる名目で大改修し、女たちを住まわせ、ついでにその死の床で託された六条御息所の娘に食指がわいてちょっと手を出そうとしたりもし、そりゃあ呪われますがなと思う私は、つくづくアンチ光源氏。
ついでに言わせてもらうならば『源氏物語』にまともな男はほとんど存在しない。
右を見ても左を見ても屑ばかり・・・。
これは、屑の頂上決戦物語なのだろうか。
いわゆる白馬の王子様に憧れても、そんなものは都市伝説。
居並ぶ屑の中からましな男を掴めばなんとか生き残れると諭している・・・と考えるのはさすがに極論でしょうか。
なんにせよ、紫式部の筆力の凄さを年月を経れば減るほど痛感します。
ついでに告白すると、六条院建設の財源の多くと生活費はおそらく成金と見下している明石君(正確には明石入道の隠し財産)からだよね?というテーマで卒論を書いたのですが、当時の私は資料集めと検証が下手で詰めが甘く、時間切れとなって散々な出来でした。
いずれまたきちんと向き合って掘り下げたいところです・・・。
話がちょっとそれましたが。
常々やらかす考えなしな私としては、ざまあ的な応酬は物語の中だけであってほしいな・・・と、都合の良い事を願います。
今の私がポンコツなのは、何かの報いでないと思いたい。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる