あんなこと、こんなこと

近江こうへい

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【こぼれ話】それぞれの、あんなこと、こんなこと

6.【七瀬・社会人二年目/秋】ちんちんかもかも ②

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 ◇

 さて。有川にかわいいかわいい言われながら黒猫しっぽを挿れられて、一周まわって開き直った俺が、思い切って寝室側の引き戸を開けてみれば。シングルベッドを二台連結したでかいベッドの端の方で、井田と宇山が転がってわちゃわちゃと遊んでいた。
 いち早く俺に気付いた宇山が、はだけたシャツを笑いながら直してい寄ってくる。

「あ、しっぽ入った? アナルビーズってどんな感じ?」

 おい、お前のデリカシーはどこ行った‼
 つか、『狼男』のはずの宇山の服は、前にも見たことのあるロングシャツだ。着替えるには着替えたらしいが、俺みたいな耳は着けてないし全然仮装って感じじゃない。まあ、ちらっと見えた裸の尻には、ライトグレーのふさふさしたしっぽが生えてたけども。
 井田は宇山の隣に転がってきて、引き続き、隙あらば狼のしっぽに触ろうと様子をうかがっている。その『おばけ』の井田に至ってはパンイチの上に布をかぶってるだけだし、その薄紫色の布はどう見たって俺のシングルサイズのシーツである。
 いやいやいや。いくらなんでもこれは手抜きがひどすぎんだろ。

「……お前ら、よくそんなんで仮装したいとか言ったよな」
「え。だって、すぐ裸になんのに金かけたらもったいねーじゃん」

 思わずツッコんだら、すがすがしいくらい当たり前な調子で返された。副音声で「安上がりだし」なんて聞こえてきそうな表情かおだ。
 こいつ本っ当に何年ってもブレねえな! つか、だったらなんで俺だけフル装備みたいになってんだ。
 俺なんか尻にアナルビーズ入ってるんですけど? 有川に玉を一個一個挿れられて、平静を装ってはいるけど、今も十五センチくらいのそれが中に収まってるんですけど!?
 思わず眉間にしわを寄せたら、その思考を読んだように井田が笑う。

「つか、それ。有川の本気も、お前が着こなしてんのも両方すげーわ」
「は?」
「あれ、言わなかったっけ。それ、全部有川が用意したやつ」

 ……マジか。三人そろって嬉々として渡してきたから、てっきり全員で用意したんだと思ってた。
 思わず宇山のしっぽに視線をやると、後ろから有川に腰を抱き寄せられて、器用に猫耳をよけながら頭を撫でられた。

「七瀬。そっちは井田が買ったやつだから」
「そこは心配してねーよ。つかそれ、宇山のはどうなってんの?」
「えー、どうって……。あ、プラグのこと?」

 ……プラグのしっぽもあるんじゃん。いや、まあ、宇山にアナルビーズの具合聞かれた時点でそうかなとは思ってたけども!

「俺もそっちじゃ駄目だったわけ?」
「んー。俺、イヌより猫の方が好きなんだよな」
「はい! 猫のしっぽが入ってるとこ見たいです」
「あ、俺も俺も」

 有川の猫好き発言をさらっと無視して、自分も似たようなもんを挿れてるくせに宇山がしっぽに興味を示し、井田もそれに乗っかった。二人がベッドの上にスペースをあけて、早く乗れとばかりにそこをたたく。

「七瀬、かわいいとこ見せてあげよっか」
「わ、ちょ、待って」

 細マッチョ有川に軽く姫抱っこされて、ケツ割れショートパンツと尻の割れ目があらわになる。膝下まであった長いしっぽが足から離れてだらりと下に垂れ、有川の首につかまりながら慌てて尻の穴を締めた。

「うっわ。何それ何それ、エッロ!」
「ケツ割れてんのエッロ!」
「マジで尻から生えてるし!」
「うっせ。あんま見んな」

 そりゃエロいだろうよ。自分でも気を付けてるし有川にだって大事にされてるから、尻の穴には自信がある。だけど、だからって恥ずかしさがなくなるわけじゃない。
 危なげなくベッドに膝を乗り上げた有川にそっと下ろされて、俺は軽く丸まったまま、しっぽを敷かないよう横向きに寝転んだ。右肘をついて上半身を起こしながら急いでその根元を左手の甲で隠すと、俺の尻がよく見える位置に、井田と宇山が重なり合うように移動してくる。
 ……いやこれ、絶対全裸より防御力低いだろ。主に精神的に。
 しっぽもだけど、ケツ割れのショートパンツとか、こんな隠す気のないものをはいてる方が恥ずかしさが倍増する気がする。

「なあ。これもう脱いでいい? はいてる意味とかなくね?」
「あー、分かってねえなあ。その中途半端に隠された感じがいいんですー」
「そうそう。見たら駄目、みたいな感じが余計エロいんですー」

 いや分かるけども! つか、だったら二人して俺の手をのけようとすんな。
 有川に聞いたつもりが、なぜか井田と宇山が反論して力説してきた。俺の裸なんか見慣れてるくせに、こんなことで今さら興奮するこいつらも大概だ。まあ、口調はふざけてても本気で言ってんのが分かるから悪い気はしないが。

「七瀬、恥ずかしがってるのもかわいいから脱がないで?」

 そう言いながら、有川が俺の目の前にあぐらを組んだ。俺は身体を支えていた右肘を崩して、その股に収まる位置にちょっとだけ移動する。しっぽの根元は隠したまま、差し出された左ももに内側から頭を預けたら、鈴の付いた首をくすぐるように撫でられた。見上げると、有川はいとおしいものでも見るように優しく笑っている。
 ──え、マジでこいつ猫が好きなのか。
 そんなこと知らなかった。なんだか胸の辺りがもやっとする。だけど、有川が俺の指の隙間から黒猫しっぽの根元を探り当て、軽く握ったまま先っぽに向かって撫で始めた途端、そのよく分からない感覚も消し飛んだ。

「あ……っ、それ駄目」

 ちっとも尻を守り切れなかった左手で慌てて有川の右腕をつかむ。しっぽを引っ張る力はそんなに強くはない。それでも、アナルビーズが中のローションで滑って抜けてしまう気がして、俺は思わずぎゅっと尻の穴を締め上げた。

「うわ、そんなに締めて大丈夫か?」
「七瀬もうちょい力抜いてー。毛皮のとこまで中に入っちゃいそう」

 尻のそばに寝転がって観察している井田と宇山が、俺の尻たぶを割り開いていらない情報をくれる。

「だって、しっぽが抜け……っ、んん。待って。待って、有川」

 有川の腕をつかんで抵抗していた俺の手は、反対側の手であっさりと捕獲され、なだめるように自分の腹の上に下ろされた。そのまま有川が俺の尻の方へと身を乗り出すと、その上半身が俺の頭上をすっぽりと覆ってしまう。
 身体で囲われた狭い空間ではなんだか自分の息遣いが大きく聞こえて、俺は思わず有川の左足にしがみついた。薄暗くなった視界の中で、すぐ目の前にはちんこのでかい膨らみがある。熱い吐息で上がった湿度には、有川の匂いが混じってる気がした。

「七瀬ちんこガチガチ。こんなの見せられて俺は何を待たなきゃいけねえの?」

 指摘されて、吸水性なんてないショートパンツの中がぐずぐずに濡れてきた。ちんこがジッパーにせき止められて、それすらも余計な刺激になってしまう。
 だけど、有川のちんこだってガチガチだ。どうせまた、自分のことは後回しにするつもりなんだろうけど。

「え、ちょ、これ自力でどんどんしっぽ飲み込んじゃってない?」

 そんなわけあるか!
 どうせなら正確にやってくれと思いつつ、宇山の実況にも身体があおられる。俺の視界の外で、井田と宇山に尻を割り開かれて、有川にアナルビーズでいじられて。無機物相手に俺のピンク色の穴がぎゅうぎゅう締まるのを見られてるって思ったら、駄目だって思うのに興奮してしまう。
 つか、宇山はいっつも俺らの前でアナルプラグ挿れててよく平気でいられるな。そもそもハロウィンてこんなんだったっけ? 仮装していたずらする祭だから合ってんのか。いやこれ絶対違うだろ。つかなんでこいつらはもうちょい普通に4Pできねえんだよ。まあ4Pに普通も何もないんですけど!

 誰のだか分からない指が、しわを伸ばすように尻の穴の周りを丁寧に撫でる。
 しっぽの根元を持ち直した有川は、毛皮を撫でるのをやめて、抜けるか抜けないかくらいの力加減でアナルビーズを前後に揺らし始めた。そのたびに、中に入ってる七個の玉のどれかが気持ちいいとこに当たってくる。

「んっ、んん」
「七瀬、腰動いてる。見られてて気持ちよくなっちゃった?」
「んっ、違……っ」

 ああ、やばい。何これ気持ちいい。せっかく気をそらそうとしてたのに、うっかりまた変な扉でも開いたらどうしてくれんだ。
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