19 / 20
第1章:夏休み
第19話 アレがない虚無感・喪失感。
しおりを挟む
こっそりと、母娘の背後へ回った。たったいま自分もきたばかりで、これから身体を洗おうとするかのように、真後ろへ陣取って蛇口を捻る。向かい合った二枚の鏡越しに、彼女の裸体をじっくりと堪能した。鏡越し+湯気のせいで、あまりよくは見えない。何度も曇った鏡面を擦《こす》る。
胸のふくらみは感じられず、陰毛も一見したところ生えてなさそうだった。おそらく、芽衣と同じくらいの年齢だろうか。彼女と目が合った俺は、反射的に逸らしてしまう。「ねえねえ。きみもこれから入るの?」
彼女のほうから話しかけられ、俺は身体を硬直させる。そうだ俺はいま、この子と同じJSだ。俺が頷くと、嬉しそうな声を出す。「初めて同い年くらいの子と会った! 近所の人?」
再び俺が頷くと、さらに嬉しそうな声で質問する。「何年生? ここ初めて?」
「五年生……えっと。前に一回だけ」
入れ替わる前、芽衣を連れてきたことを思い出しながら回答した。するとその子は、また嬉しそうな声になって言う。
「ユウも小五!」YOU? あ、この子の名前かな。「なに小?」
「に、西小……」だったよな?
芽衣の学校を思い出しながら、俺は慎重に答えた。「そうなんだ! ユウは東小だよ!」
そうか。家は近くても、違う学区になるのか。久しぶりに、見ず知らずの他人(しかも少女! しかもすっぽんぽんの!)と会話をして、少しだけこっちも楽しくなってきた。何回かラリーをしたところで、隣りの母親が、シャンプーを洗い流し終えたようで、長い髪を振り乱しながら顔を上げる。三十代くらいだろうか、豊満なバストがブルンっと揺れた。
「あら? お友達?」
「うんっ! いま友達になった!」
身体を洗ったあと、一人称がユウの子に手を引かれ、俺は湯船へと向かった。目の前にいるのが男とは露知らず、無邪気にも陰部を晒している。俺を女の子と信じて疑わないユウは、肩が触れ合うような近距離で、いろいろな楽しそうに話をしていた。それどころではない俺は、バレないよう、視線を下方へと向ける。
ユウを挟んだ向こうには、ぷかぷかと浮かぶ巨乳が目に入った。でもやっぱり、目の前のちっぱいのほうが、興奮度は高い。それに加えて、繋いだ手の感触が忘れられなかった。その手で俺は堪らず、陰茎があった場所へ手を伸ばす。そこで虚しく、空ならぬお湯を切った。
我に返った俺は、ユウの話に適当に相槌を打ちつつ、仕方なくクリトリスを触る。湯船に肩までつかって見えないよう乳首まで弄くったが、どうしても絶頂までは到達しなかった。次第にのぼせてきて、ユウに「先に上がるね」と言って、俺は湯船を出る。ユウは寂しそうに「またね」と手を振っていた。
あれこれと脱衣所で考え込む。どうしてだろう、興奮はしているのに。服を着終わったあと、出入口へ向かいかけて、はたと俺は足を止める。
やっぱり男として射精をしたかったのだろうと、長いこと男をしてきた俺は思った。女の子の身体でオナニーするのは気持ちいいが、自分も女の子になっているせいか、ほかの女の子の裸で満足にはイケないような気がする。なにより、男としてのエクスタシーのほうが馴染み深いし、一回での満足感は確かにあった。
なんだか、急激に男の身体が心寂しく思えてくる。暖簾を潜ると、芽衣が女湯の前で待っていた。出てくる人たちが、怪訝な表情を俺の身体(中身は芽衣)のほうへ向けている。
「ごめん、遅くなって」
疲弊しきった様子の芽衣へ、アイスを奢ってやる。といっても、いまは芽衣の財布だが。家が近くなってきたころで、芽衣の足取りが重くなってくるのを感じた。
「あの……!」意を決したように、芽衣が口を開く。「元の姿に戻りたいです」
どうやら、同じ気持ちだったらしい。そのためには。女の子の身体にも未練はもちろんあるが、俺は提案することにした。「まず、どうしてこうなったのか、その原因を調べなくちゃな……」
芽衣は笑みを浮かべて頷く。「はい」
胸のふくらみは感じられず、陰毛も一見したところ生えてなさそうだった。おそらく、芽衣と同じくらいの年齢だろうか。彼女と目が合った俺は、反射的に逸らしてしまう。「ねえねえ。きみもこれから入るの?」
彼女のほうから話しかけられ、俺は身体を硬直させる。そうだ俺はいま、この子と同じJSだ。俺が頷くと、嬉しそうな声を出す。「初めて同い年くらいの子と会った! 近所の人?」
再び俺が頷くと、さらに嬉しそうな声で質問する。「何年生? ここ初めて?」
「五年生……えっと。前に一回だけ」
入れ替わる前、芽衣を連れてきたことを思い出しながら回答した。するとその子は、また嬉しそうな声になって言う。
「ユウも小五!」YOU? あ、この子の名前かな。「なに小?」
「に、西小……」だったよな?
芽衣の学校を思い出しながら、俺は慎重に答えた。「そうなんだ! ユウは東小だよ!」
そうか。家は近くても、違う学区になるのか。久しぶりに、見ず知らずの他人(しかも少女! しかもすっぽんぽんの!)と会話をして、少しだけこっちも楽しくなってきた。何回かラリーをしたところで、隣りの母親が、シャンプーを洗い流し終えたようで、長い髪を振り乱しながら顔を上げる。三十代くらいだろうか、豊満なバストがブルンっと揺れた。
「あら? お友達?」
「うんっ! いま友達になった!」
身体を洗ったあと、一人称がユウの子に手を引かれ、俺は湯船へと向かった。目の前にいるのが男とは露知らず、無邪気にも陰部を晒している。俺を女の子と信じて疑わないユウは、肩が触れ合うような近距離で、いろいろな楽しそうに話をしていた。それどころではない俺は、バレないよう、視線を下方へと向ける。
ユウを挟んだ向こうには、ぷかぷかと浮かぶ巨乳が目に入った。でもやっぱり、目の前のちっぱいのほうが、興奮度は高い。それに加えて、繋いだ手の感触が忘れられなかった。その手で俺は堪らず、陰茎があった場所へ手を伸ばす。そこで虚しく、空ならぬお湯を切った。
我に返った俺は、ユウの話に適当に相槌を打ちつつ、仕方なくクリトリスを触る。湯船に肩までつかって見えないよう乳首まで弄くったが、どうしても絶頂までは到達しなかった。次第にのぼせてきて、ユウに「先に上がるね」と言って、俺は湯船を出る。ユウは寂しそうに「またね」と手を振っていた。
あれこれと脱衣所で考え込む。どうしてだろう、興奮はしているのに。服を着終わったあと、出入口へ向かいかけて、はたと俺は足を止める。
やっぱり男として射精をしたかったのだろうと、長いこと男をしてきた俺は思った。女の子の身体でオナニーするのは気持ちいいが、自分も女の子になっているせいか、ほかの女の子の裸で満足にはイケないような気がする。なにより、男としてのエクスタシーのほうが馴染み深いし、一回での満足感は確かにあった。
なんだか、急激に男の身体が心寂しく思えてくる。暖簾を潜ると、芽衣が女湯の前で待っていた。出てくる人たちが、怪訝な表情を俺の身体(中身は芽衣)のほうへ向けている。
「ごめん、遅くなって」
疲弊しきった様子の芽衣へ、アイスを奢ってやる。といっても、いまは芽衣の財布だが。家が近くなってきたころで、芽衣の足取りが重くなってくるのを感じた。
「あの……!」意を決したように、芽衣が口を開く。「元の姿に戻りたいです」
どうやら、同じ気持ちだったらしい。そのためには。女の子の身体にも未練はもちろんあるが、俺は提案することにした。「まず、どうしてこうなったのか、その原因を調べなくちゃな……」
芽衣は笑みを浮かべて頷く。「はい」
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる