6 / 9
episode 6 〜父の秘密〜
しおりを挟む
父の入院中、家事は僕がやった。父は職場から病院に運ばれたから、仕事用のカバンを僕が家に持って帰って、入院用の荷物をまとめて持って行った。仕事用のカバンの中に洗濯物のタオルがあるからと言われたので…カバンの中を見た…。洗濯物を…。
洗濯物以外、他には何も見つからないと信じながら…
見つけてしまった。
なぜ手帳が2冊あるのか…。仕事用とは思えない小さくかわいい手帳を…。ダメだと思いながら、開いてしまった。丁寧に書かれた手帳を。そこには、彼女と会った日や、おそらく体の関係のあった日が丁寧に書かれていた。ハートマークが書いてあったから…きっとそうだ。手紙のようなものが挟まっていた。いや違う。日記のようなものだった。
…僕らが子どもの頃から関係は始まっていたらしい。おじいちゃんの家に行った週末や夜僕らが寝静まった後…。まさか家にまで彼女が来ていたなんて…。
僕は笑顔で父の看病をしながら、心の中は複雑だった。そりゃ、父一人で僕ら兄妹を育ててくれた。恋愛をすることは必要なことだ。でも、父子家庭になったのは母の浮気のせいだ。それなのに、父は旦那さんのいる女性とそういう関係になっていたのだ。
…僕は思い出した。父の塾に行ったことがある。あの時、笑顔で迎えてくれて、ジュースを出してくれた女性がいた。そうだ、あの人だ。僕らのことをかわいがってくれていた。あの笑顔を意味は何だったのだろう…。
父とケンカはしたくなかった。父に事実を問い詰めることはしなかった。妹に言うこともできなかった。自分の中だけに留めるしかなかった。深々と息を吸って…吐くと同時に涙がこぼれた。
もう父の携帯を見ることなんてできなかった。ただ、父が携帯を触っていると、彼女と連絡を取っているんじゃないか、帰りが遅いと会ってるんじゃないか、休みの日に出かけると…と考えない日はなかった。
僕は友だちと遊ぶこともガマンしたり、欲しいものもガマンしたり、女の人と接することが苦手になったり…なのに、父は…。
絶えきれなくなり仲の良かった1人の友だちにだけ話をした。…怒られた。真実を知って辛い思いをするだけなのに、なぜ手帳を見たの!と…。ただ味方にはなってくれた。辛くなったら相手になると言ってくれた。
そのうち父は、堂々と
『ちょっと職場の人とごはんして帰る』と、言うようになった。父には父の…と思うようにしようとしたけど、やっぱり…
気持ちのやり場に困った。
最近の話だが、彼女は旦那さんに離婚届を渡して別居を始めたそうだ。旦那さんが届けを出してくれず、今の関係を続けているらしい。
それも堂々と僕に言ってきたのだった…。
洗濯物以外、他には何も見つからないと信じながら…
見つけてしまった。
なぜ手帳が2冊あるのか…。仕事用とは思えない小さくかわいい手帳を…。ダメだと思いながら、開いてしまった。丁寧に書かれた手帳を。そこには、彼女と会った日や、おそらく体の関係のあった日が丁寧に書かれていた。ハートマークが書いてあったから…きっとそうだ。手紙のようなものが挟まっていた。いや違う。日記のようなものだった。
…僕らが子どもの頃から関係は始まっていたらしい。おじいちゃんの家に行った週末や夜僕らが寝静まった後…。まさか家にまで彼女が来ていたなんて…。
僕は笑顔で父の看病をしながら、心の中は複雑だった。そりゃ、父一人で僕ら兄妹を育ててくれた。恋愛をすることは必要なことだ。でも、父子家庭になったのは母の浮気のせいだ。それなのに、父は旦那さんのいる女性とそういう関係になっていたのだ。
…僕は思い出した。父の塾に行ったことがある。あの時、笑顔で迎えてくれて、ジュースを出してくれた女性がいた。そうだ、あの人だ。僕らのことをかわいがってくれていた。あの笑顔を意味は何だったのだろう…。
父とケンカはしたくなかった。父に事実を問い詰めることはしなかった。妹に言うこともできなかった。自分の中だけに留めるしかなかった。深々と息を吸って…吐くと同時に涙がこぼれた。
もう父の携帯を見ることなんてできなかった。ただ、父が携帯を触っていると、彼女と連絡を取っているんじゃないか、帰りが遅いと会ってるんじゃないか、休みの日に出かけると…と考えない日はなかった。
僕は友だちと遊ぶこともガマンしたり、欲しいものもガマンしたり、女の人と接することが苦手になったり…なのに、父は…。
絶えきれなくなり仲の良かった1人の友だちにだけ話をした。…怒られた。真実を知って辛い思いをするだけなのに、なぜ手帳を見たの!と…。ただ味方にはなってくれた。辛くなったら相手になると言ってくれた。
そのうち父は、堂々と
『ちょっと職場の人とごはんして帰る』と、言うようになった。父には父の…と思うようにしようとしたけど、やっぱり…
気持ちのやり場に困った。
最近の話だが、彼女は旦那さんに離婚届を渡して別居を始めたそうだ。旦那さんが届けを出してくれず、今の関係を続けているらしい。
それも堂々と僕に言ってきたのだった…。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
嵐大好き☆ALSお母さんの闘病と終活
しんの(C.Clarté)
エッセイ・ノンフィクション
アイドル大好き♡ミーハーお母さんが治療法のない難病ALSに侵された!
ファンブログは闘病記になり、母は心残りがあると叫んだ。
「死ぬ前に聖地に行きたい」
モネの生地フランス・ノルマンディー、嵐のロケ地・美瑛町。
車椅子に酸素ボンベをくくりつけて聖地巡礼へ旅立った直後、北海道胆振東部大地震に巻き込まれるアクシデント発生!!
進行する病、近づく死。無茶すぎるALSお母さんの闘病は三年目の冬を迎えていた。
※NOVELDAYSで重複投稿しています。
https://novel.daysneo.com/works/cf7d818ce5ae218ad362772c4a33c6c6.html


B型の、B型による、B型に困っている人の為の説明書
メカ
エッセイ・ノンフィクション
「あいつB型っしょ、まじ分からん。」
「やっぱ!?B型でしょ?だと思った。」
「あぁ~、B型ね。」
いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
何でもB型で片付けるなよ!?
だが、あえて言おう!B型であると!!

翔龍記 =電子版=
落合涼太朗
エッセイ・ノンフィクション
落合涼太朗の演習ノートです。令和元年の葉月(8月)・長月(9月)・神無月(10月)・霜月(11月)・師走(12月)にちなんだコメントを公開中です。また令和二年の睦月(1月)・如月(2月)・弥生(3月)・卯月(4月)・皐月(5月)・水無月(6月)・文月(7月)・令和2年 葉月(8月)・長月(9月)・神無月(10月)・霜月(11月)・師走(12月)・令和3年 1月(睦月)・2月(如月)・3月(弥生)・4月(卯月)・5月(皐月)・6月(水無月)・7月(文月)・8月(葉月)・9月(長月)・10月(神無月)・11月(霜月)・12月(師走)・令和4年 1月(睦月)・2月(如月)・3月(弥生)・4月(卯月)・5月(皐月)・6月(水無月)・7月(文月)・8月(葉月)・9月(長月)・10月(神無月)・11月(霜月)・ 12月(師走)令和5年 1月(睦月)・2月(如月)・3月(弥生)・4月(卯月)・5月 (皐月)そして6月(水無月)の記事もあります。
自叙伝「或る変人の生涯(平成初期篇)」
夢笛メタ
エッセイ・ノンフィクション
平成時代の穏やかな到来とともに、波乱の中学生活が始まりました。
思い出深い半生を、感謝の気持ちで綴ります。
小説家になろう・エブリスタ・アルファポリス・カクヨム角川文庫・NOVEL DAYS講談社にも登録、同じ内容の作品を重複投稿しています。
恋愛がわからない僕に彼女ができた話。(と日常)
ここクマ
エッセイ・ノンフィクション
注意)この話はリア充ヒャッホーな明るいものを極端に含んでいません。理由としては、作者本人の性格の根暗さに空元気を重ねて外面だけではわからないくらい能天気に仕立て上げた結果の反動です。
簡単に書くと僕の外面は明るいのですが、内面はとても暗いのです。そして、この話は現在の僕の話です。内面的な話です。
それ故、暗い。病んでるのかってくらい暗い。でも、僕は元気です。
こんな作者の書く恋愛観やら人生観だとしても、ちょっとタイトルにつられて気になっちゃった♡って方はどうぞお願いします読んでください。
できればお気に入りとかしちゃって、更新されるの待ってたーとか思ってください。
そしたら、滅茶苦茶喜びます。
といっても、現実の話なので、喜んだとてって感じですね。
あ、僕ごと気になって他の話読んで頂けるならそれはもう、嬉しいしチョロすぎるくらい喜ぶんでお願いします。
長い注意書きを読んでいただきありがとうございます。下からが本編の説明になっております。
これを読んでも気になった貴方、ありがとうございます。嬉しいです。
___
彼女ができた。
でも、僕には恋愛感情がよくわからない。
彼女を好きだと思うと同時に、嫌だと心が叫んでる。悲しいと、喉元をつまらせる。
彼女には、幸せになって欲しい。
でも、その幸せに・・・僕を入れないで。
『僕のクズみたいで、考えすぎたと思うような、そんな感情の連鎖の行き場をここに置きたかったのです。
そして、彼女の前では笑えるように、この思いを隠せるように…でも、この思いを忘れないように、誰かに聞いて欲しかったのかもしれません。』
こんな僕の、彼女への密かな懺悔と自分への戒めとしてこれを記す。
___
追記 4/10が始まったド深夜から暇すぎて日常の話も書くようになりました。
多分、彼女の話も恋愛観も人生観もそこまで書かれていないものになっています。(多分)
自分の書いている小説の話等(更新しなきゃなとか)も含まれています。多分ネタバレはないですが。
+ ほぼ日記になりました。後半は好きな映画の話とか、夢の話とか、普通に彼女の話もし出しました。
僕は、好きに生きるよ!
2021/01/27
楽しい日々だったぜ☆
子供って難解だ〜2児の母の笑える小話〜
珊瑚やよい(にん)
エッセイ・ノンフィクション
10秒で読める笑えるエッセイ集です。
2匹の怪獣さんの母です。11歳の娘と5歳の息子がいます。子供はネタの宝庫だと思います。クスッと笑えるエピソードをどうぞ。
毎日毎日ネタが絶えなくて更新しながら楽しんでいます(笑)
日々雑記
いとくめ
エッセイ・ノンフィクション
気を抜くとあっというまに散らかり放題になるわたしの頭の中の記録みたいなものですが、ひょっとして誰かの暇つぶしになればうれしいです。
※以前投稿したものもたまに含まれます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる