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episode 4 〜子どもらしくない子ども〜
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父はサラリーマンだった。大学の時に教員免許を取っていたこともあり、母がいなくなってからは会社を辞め、朝が少しゆっくりな塾で働くようになった。妹が幼稚園の間はおじいちゃんとおばあちゃんが手伝ってくれ、小学校に上がってからは学童へ。僕が終わる時に一緒に帰った。父は仕事の開始時間が遅いため、ご飯の準備をしてから出かけてくれた。
僕たちは、兄妹2人でご飯を食べて、お風呂に入って、父が帰ってきたときには妹が寝ているなんてこともよくあった。
おじいちゃんたちが、親の影響で子どもに辛い目を合わすのは…と、水泳だけは続けさせてくれた。
中学へ上がると、僕は自分でお弁当を作った。週末は父の休息も兼ねて、僕ら兄妹はおじいちゃんに迎えにきてもらい、父の実家で過ごすようになった。
買い物に連れて行ってもらって、
『好きな服買っていいよ』と言われたが…
父の収入が下がっていることや、外食なども増えていたこともあり、お金に関して気にするようになっていた。いいなと思った服を2つ3つ選んで…一番安い物に
「コレがいい」と言って買ってもらった。
遠慮すること、大人の顔色を伺うこと、中学生になる頃にはクセになって、身についてしまっていた。
あとになって、ずっと世話になっていた水泳のコーチが言っていた。…かわいくない子どもだったと。
子どもらしく甘えたりすればいいのに、変に大人びていたと…。ある種の褒め言葉ではあったが…
今もその性格は変わらない…。
父を見ていた僕は、小学生の頃に「今」の資格を取ることを決めていた。何か困った時にも仕事していけるように。将来何かあった時、この先何かあった時、できる限り困らないように…。テレビで見た世界史か何かでレントゲンが出てきた時に「コレだ」と思った。
先の先を見据えて考えるこの性格は、子どもの頃からの育ってきた環境とともに培われたものだったのだと、今となってはそう思う。
友だちの家に泊まったり、友だちと晩ごはんを食べたり…そんなことはほとんどなかった。
高校に入るとバイトを始めた。奨学金ももらった。できるだけ自分に必要なお金は自分でどうにかした。塾に行ったことはない。どうしてもわからないことは、父に教えてもらった。…でも、仕事でも家でも勉強を教えるのは大変だろうと思い、できるだけ自分でがんばった。
高校生の頃は、さすがに友だちと遊んだりすることは増えた。でも、週末になるとカラオケでオールナイトをする友だちもいたが…僕はそんなのしたことはない。
女の子から告白されたこともあったが、彼女を作って遊ぶ余裕もなかったし、初めての彼女はハタチの頃だった。専門学校に入ると、妹も中学~高校だったので、みんな少しずつ余裕ができてきた。おじいちゃんの家に行くこともなくなり、学校と家との行き来やバイトと自分のペースができてきた。
専門学校の辛い実習を乗り越えて…その時できた初めての彼女とイチャイチャと勉強をちゃんとわけて…。一緒に勉強した甲斐もあり、国家試験に無事合格!
病院で放射線技師として働き始めた。
…同時に、高校と専門学校の時に借りていた奨学金の返済も始まった。ザッと500万円。新社会人にはよくわからない金額だ…。
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