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一章、終わりのはじまり編
2-3.
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ニイナは私の手を握り自分のことのように嬉しそうに微笑む。
「(あの男と初の顔合わせ・・・ということは。)」
頭の中でガンガンとうるさい音が鳴る。
心臓の音もうるさくなってきた。
「私って今9歳?」
「そうですね!けどあと1週間で10歳になります!王子様との初の顔合わせの日にお嬢様のお誕生日会と、お嬢様と王子様の婚約発表会を同時にするなんてロマンチックで憧れちゃいますぅ~!」
「・・・・・・・・・。」
「お嬢様?お嬢様?顔色がどんどん悪く!?大変!熱がどんどん上がって!?早く!早く!お医者様を呼んでくださいっ!」
私は額に当たてているニイナの冷たい手の感触を感じながら目を閉じて気を失った。
別に目が覚めた時、あの男の存在を忘れてた訳じゃなくてずっと頭の片隅にあったけど、怒涛の展開が続いたから後回しにしてただけ。
ローズ・ボアルネの人生はあの男を中心に常に回っていたから、あの男と必ず関わることになるのは解っていた。
あの男、この国グランツの王太子であるルイス・ヴェルフェルムとは初対面の時から最悪だった。
私は生まれた時から、お祖父様やお母様に将来は王妃になるように強く言われ続け洗脳されて育てられてきた。
筆頭貴族のお祖父様の力により私は王太子の婚約者に選ばれ、妹のアイリスはお母様の次の女公爵兼私に何かあった時の為のスペアの婚約者候補として王妃教育を一緒に受ける事になった。
婚約者は私で決まりだったけど、私は一応候補として入っているアイリスに負けないように立派な王妃となるべく努力をし続けた。
そして運命の顔合わせの日。
私の誕生日会と婚約発表会を同時にするパーティーは最高の日になるはずだったのに・・・。
ルイス様は私を気に入ってくださらなかった。
初対面から冷たい言葉をかけられ、ルイス様は母君である王妃様が選んでくれたプレゼントを私の足元に投げた。
その後は最悪だった。
いや、最初から最悪だった。
私は泣くのを我慢してルイス様との最悪のファーストダンスを踊った。
婚約者としての最低限の義務のファーストダンスを踊った後は、ルイス様はアイリスと何度もダンスを踊り、私がルイス様にもう一度ダンスに誘っても冷たく断られた。
ルイス様は私よりもアイリスを気に入り、パーティーに参加した大人達は天使の様な2人のダンス姿を微笑ましく見守っていた。
私はルイス様の美しい容姿に一目惚れした直後に婚約者であるルイス様にフラれ冷たくされるという最悪の初恋を味わう。
今日は私が主役なのに。
『なんで、なんでアイリスなんかが。』
天使の様な2人は誰がどう見てもお似合いで私は蚊帳の外だった。
子どもの私はその様子を怒りに満ちた目で見つめていた。
「あの初対面から私の最悪な人生が始まったのよね・・・。」
あの男ともうすぐ再会という2回目の初対面があると知りショックで気を失ってから3日後。
「お嬢ざまぁ~!元気になって良がっだでずぅううう!」
鼻水と涙を流しながらニイナが抱きついてきた。
1週間後にあの男と顔合わせと聞いた私はショックのあまり熱がぶり返して再び昏睡状態に陥り、目が覚めたのが3日後の今日。
後4日であの男とこの新しくやり直した人生で再び出会うのだ。
「(奴の顔を見たら自分を保てる気がしない!)」
私は腑が煮え繰り返りそうな程の怒りが沸いてきて暴れたい気分になった。
自分が今恐ろしい顔になっている自覚はあるけど、顔に出さないでいるなんて私には無理だ。
人に八つ当たりしないだけマシな人間になったと思って欲しい。
そんな怒りで怖い顔になっている私に抱き着けるメイドはニイナしかいない。
ニイナは2回目の人生が始まる前のただの子どもだった私を知らない。
高熱で2週間の生死を彷徨っていた時に我が家のメイドになったので、ニイナは以前のわがままで短気で傲慢な令嬢の私の姿を知らないのだ。
だから私を怖がってる他のメイドと違い、甲斐甲斐しく優しく面倒を見てくれているみたいだった。
ニイナは私があの怖いお母様から庇ってくれたことで慕ってくれているみたい。
だからこうやって親しみを込めて抱き着いてくるニイナに恥ずかしいようなちょっぴり照れるような気持ちがした。
だけど、そんな嬉しい気持ちもあの男のことを考えると怒りが顔に出てしまう。
ニイナ以外のメイドから「ヒィ!」って怯える声が聞こえるけど、ごめんなさい怒りを抑えられないの。
「(どうすれば、どうすればいいの?どうすればあの男に関わらずに生きていけるの!?)」
私は無意識に親指の爪を噛んでいた。
あの最悪で最低な日をまた味わうなんてごめんだ。
初対面で嫌われて邪険にされると解っている相手に誰が会いたいと思う?
あの日のショックな出来事は子供の頃の私のトラウマ上位に入る程の最悪な日なのだ。
『噂通り君は母親ゆづりの美しい美貌だが、性格も母親ゆづりで悪そうだ。こんな毒々しく着飾った性格の悪い女が私の婚約者なんて最悪だよ。君の妹の天使のように美しいと噂のアイリス嬢の方が私の婚約者に相応しいね。君よりもアイリス嬢と私は婚約したいと思ったよ。』
初対面の婚約者にこんな言葉でかまされたのよっ!!?
ホントくそッ!
ホントくそッ!
マジくそッ!
ざっけんなッ!
ふざけんなよッ!
その後の私の人生は婚約者の殿下に愛されようと奮闘し空回りの連続でろくなことがなかった。
そんなこんなで最終的には殿下は学園生活で出会った平民上がりの男爵令嬢を愛し、私との婚約破棄が出来なかった腹いせに私を書庫に60年間監禁して放置したとさ。
「(好きになれるかッ!!)」
マジくそッ!
「(あの男と初の顔合わせ・・・ということは。)」
頭の中でガンガンとうるさい音が鳴る。
心臓の音もうるさくなってきた。
「私って今9歳?」
「そうですね!けどあと1週間で10歳になります!王子様との初の顔合わせの日にお嬢様のお誕生日会と、お嬢様と王子様の婚約発表会を同時にするなんてロマンチックで憧れちゃいますぅ~!」
「・・・・・・・・・。」
「お嬢様?お嬢様?顔色がどんどん悪く!?大変!熱がどんどん上がって!?早く!早く!お医者様を呼んでくださいっ!」
私は額に当たてているニイナの冷たい手の感触を感じながら目を閉じて気を失った。
別に目が覚めた時、あの男の存在を忘れてた訳じゃなくてずっと頭の片隅にあったけど、怒涛の展開が続いたから後回しにしてただけ。
ローズ・ボアルネの人生はあの男を中心に常に回っていたから、あの男と必ず関わることになるのは解っていた。
あの男、この国グランツの王太子であるルイス・ヴェルフェルムとは初対面の時から最悪だった。
私は生まれた時から、お祖父様やお母様に将来は王妃になるように強く言われ続け洗脳されて育てられてきた。
筆頭貴族のお祖父様の力により私は王太子の婚約者に選ばれ、妹のアイリスはお母様の次の女公爵兼私に何かあった時の為のスペアの婚約者候補として王妃教育を一緒に受ける事になった。
婚約者は私で決まりだったけど、私は一応候補として入っているアイリスに負けないように立派な王妃となるべく努力をし続けた。
そして運命の顔合わせの日。
私の誕生日会と婚約発表会を同時にするパーティーは最高の日になるはずだったのに・・・。
ルイス様は私を気に入ってくださらなかった。
初対面から冷たい言葉をかけられ、ルイス様は母君である王妃様が選んでくれたプレゼントを私の足元に投げた。
その後は最悪だった。
いや、最初から最悪だった。
私は泣くのを我慢してルイス様との最悪のファーストダンスを踊った。
婚約者としての最低限の義務のファーストダンスを踊った後は、ルイス様はアイリスと何度もダンスを踊り、私がルイス様にもう一度ダンスに誘っても冷たく断られた。
ルイス様は私よりもアイリスを気に入り、パーティーに参加した大人達は天使の様な2人のダンス姿を微笑ましく見守っていた。
私はルイス様の美しい容姿に一目惚れした直後に婚約者であるルイス様にフラれ冷たくされるという最悪の初恋を味わう。
今日は私が主役なのに。
『なんで、なんでアイリスなんかが。』
天使の様な2人は誰がどう見てもお似合いで私は蚊帳の外だった。
子どもの私はその様子を怒りに満ちた目で見つめていた。
「あの初対面から私の最悪な人生が始まったのよね・・・。」
あの男ともうすぐ再会という2回目の初対面があると知りショックで気を失ってから3日後。
「お嬢ざまぁ~!元気になって良がっだでずぅううう!」
鼻水と涙を流しながらニイナが抱きついてきた。
1週間後にあの男と顔合わせと聞いた私はショックのあまり熱がぶり返して再び昏睡状態に陥り、目が覚めたのが3日後の今日。
後4日であの男とこの新しくやり直した人生で再び出会うのだ。
「(奴の顔を見たら自分を保てる気がしない!)」
私は腑が煮え繰り返りそうな程の怒りが沸いてきて暴れたい気分になった。
自分が今恐ろしい顔になっている自覚はあるけど、顔に出さないでいるなんて私には無理だ。
人に八つ当たりしないだけマシな人間になったと思って欲しい。
そんな怒りで怖い顔になっている私に抱き着けるメイドはニイナしかいない。
ニイナは2回目の人生が始まる前のただの子どもだった私を知らない。
高熱で2週間の生死を彷徨っていた時に我が家のメイドになったので、ニイナは以前のわがままで短気で傲慢な令嬢の私の姿を知らないのだ。
だから私を怖がってる他のメイドと違い、甲斐甲斐しく優しく面倒を見てくれているみたいだった。
ニイナは私があの怖いお母様から庇ってくれたことで慕ってくれているみたい。
だからこうやって親しみを込めて抱き着いてくるニイナに恥ずかしいようなちょっぴり照れるような気持ちがした。
だけど、そんな嬉しい気持ちもあの男のことを考えると怒りが顔に出てしまう。
ニイナ以外のメイドから「ヒィ!」って怯える声が聞こえるけど、ごめんなさい怒りを抑えられないの。
「(どうすれば、どうすればいいの?どうすればあの男に関わらずに生きていけるの!?)」
私は無意識に親指の爪を噛んでいた。
あの最悪で最低な日をまた味わうなんてごめんだ。
初対面で嫌われて邪険にされると解っている相手に誰が会いたいと思う?
あの日のショックな出来事は子供の頃の私のトラウマ上位に入る程の最悪な日なのだ。
『噂通り君は母親ゆづりの美しい美貌だが、性格も母親ゆづりで悪そうだ。こんな毒々しく着飾った性格の悪い女が私の婚約者なんて最悪だよ。君の妹の天使のように美しいと噂のアイリス嬢の方が私の婚約者に相応しいね。君よりもアイリス嬢と私は婚約したいと思ったよ。』
初対面の婚約者にこんな言葉でかまされたのよっ!!?
ホントくそッ!
ホントくそッ!
マジくそッ!
ざっけんなッ!
ふざけんなよッ!
その後の私の人生は婚約者の殿下に愛されようと奮闘し空回りの連続でろくなことがなかった。
そんなこんなで最終的には殿下は学園生活で出会った平民上がりの男爵令嬢を愛し、私との婚約破棄が出来なかった腹いせに私を書庫に60年間監禁して放置したとさ。
「(好きになれるかッ!!)」
マジくそッ!
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